完全休養日となってしまった。とは言え、新作の準備をしたりとそれなりにはすることがあって、ダラダラとそうしたことをやって一日が過ぎていった。
気がつくと外が暗くなっている…ということは最近とみに増えてきたように思う。 明日はパルテノン多摩に朝から出かけなくてはならない。なんだか10時からなのだそうだ。行って聞いてくるだけなので、何ということもないのだけれど…。 学生たちに日本歌曲コンクールの作曲部門を受けさせようと思い、資料をとりよせた。先日は歌曲の説明などを簡単にしただけなのだが、考えてみると私もそうした説明や授業を受けたことがない。全くの我流なのだ。原加寿子先生のその授業があったと思うのだけれど、記憶にない。でも大学の頃、立原道造の詩にそれを書いたはずであるが、さっぱり…忘れてしまった。 さて、アルビノーニのアダージョがレーモ・ジャゾットというイタリアのアルビノーニ研究家の手になるものというのがショックだったというお話もあったけれど、あのバッハの超有名作品である「トッカータとフーガ ニ短調」もどうしてもバッハの作品と考えることは不可能ということで、偽作ではないかという話となっているのには、私もちょっとしたショックだった…。 あのハイドン作と信じられていたおもちゃの交響曲が、レオポルド・モーツァルトのカッサシオンだったと考えられていたことが、更にどうも疑わしいということで、何年か前にチロル地方のベネディクト会の牧師のエトムント・アンゲラー(Edmund Angerer = 1740年5月24日生まれ、1794年8月7日没)の手によるものとわかったの、なんだかありがた迷惑な発見に思われたものだ。 インスブルックの近くの修道院にいた神父さんで、音楽をよくし、シングシュピールや宗教作品などを書いたそうだ。私はこのおもちゃの交響曲しか知らない。 しかし、おもちゃの交響曲が、ハイドンでもなく、レオポルド・モーツァルトでもなく、アンゲラーという全く知らない作曲家の手になると聞くと、あの曲の価値が一気に下がるように感じてしまう自分が浅ましく思う今日この頃である。 まぁ、カッチーニの「アヴェ・マリア」のような例が最近もある。あれはどうもウラディーミル・ヴァヴィロフというロシアのリュート奏者にして作曲家(1925–1973)によるものというのが大方の意見で、この人はかなりの偽作を世の中に出しているそうだ。詳しくはこちらでどうぞ。 いずれにせよ、カッチーニであるはずのない和声進行と「アヴェ・マリア」とただくり返すだけの歌詞は、ちょっと考えればあれが1545-1618というバッハが活躍する100年以上前の作曲家の手によるものというのは無理がありすぎるはずだ。 美術ではこうした偽作はよくあるけれど、音楽でも時々ある…。というか、結構あるので、気をつけないといけない。 今日ではハイドンのセレナードなるものが、ハイドンのものでないことは誰もが知っているけれど、2〜30年前までは一般的とはいえなかった。 フリースという作曲家の書いたモーツァルトの子守歌は、かつてモーツァルトの作品としてケッヘル番号もつけられていた。だからと言って、作者の名前が違ったからといって、その音楽がつまらないものというのはどうかと思う。 そうした名前で聞いていることが多いと言うか、先入観で音楽を聞く習慣というのは、どうしたら無くなるのだろう。真っ直ぐに音楽を聞き、味わうこと!が本当は大切なのだろう。 贋作の作品を、高名な画家の作品だと鑑定され、高値で取引されることは、ままあることだけれど、そこでは絵の中身、価値よりも、画家の名前が値段となっているものなのではないのだろうか? 音楽もそうだとは言いたくないけれど、自分は良いものを自分の耳で探し出し、味わい尽くしていきたいと思っている。ああ、そうなりたいなぁ…。
by Schweizer_Musik
| 2008-12-20 22:22
| 作曲(家)について
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