ロマンチックなレスピーギ23才の作品、ピアノ協奏曲イ短調
作曲者 : RESPIGHI, Ottorino 1879-1936 伊
曲名  : ピアノ協奏曲 イ短調 P.40 (1902)
演奏者 : ジェフリー・トーザー(pf), エドワード・ダウンズ指揮BBCフィルハーモニック
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ロマンチックなピアノ協奏曲がお好みであれば、レスピーギ若書きのこのピアノ協奏曲は、きっと喜んで頂けるのではないかと思う。
ナクソス・ミュージック・ライブラリーには、この演奏とシチェルバコフのものがあり、チューリッヒ音楽院の教授でもあるシチェルバコフのものもとても良いのだけれど、スイスに長く住んだヘルマン・シェルヘンの高弟でもあるエドワード・ダウンズ卿の指揮ということもあってこちらを選んだ。演奏はどちらも素晴らしいもので、聞いてつまらないなどということはない。
ちなみに、シチェルバコフ盤で共演しているグリフィスもチューリッヒでエーリッヒ・シュミットに学んだイギリスの指揮者で、エドモン・ド・シュトゥツの創設したチューリッヒ室内管弦楽団の指揮者として活躍している。
まっ、スイス好きとしては、どちらでも良いかと思うが、今回はこのトーザー盤を。

前置きが異様に長くなってしまったけれど、全1楽章、20分あまりの作品であるが、なかなかテクニカルでロマン派のピアノ協奏曲の伝統を受け継いだものと言える。1902年という時期にはちょっと保守的すぎると言われそうだけれど、あのレスピーギである。
この後彼の音楽の興味はロマン派どころか、古典も越えて、バロック以前へと飛翔してしまったのだから、この懐古趣味も充分理解できる。
まだ経験をそれほど積んでいなかったであろう時期に、これほどの完成度の作品を書き上げたことに、彼のオーケストレーションなどの作曲技術がかなり若い頃から実に達者だったことが窺える。
ピアノも充分効果的である。
全体は大体六つの部分からなり、シャンドス盤では3つにトラックが区切られている。(シチェルバコフのものは一つのトラックにおさめられているという違いはある…)
ジェフリー・トーザーのピアノは実にしっかりしていて良い。ずいぶん前、リストのピアノ協奏曲をとりあげたことがあった(こちら)が、あの時も冴えたテクニックに驚いたけれど、この協奏曲の演奏でもそれは健在である。
ダウンズ卿(彼はまだWikiに何も書かれていない…今度書こうかな)の指揮もとても良いし、マンチェスターのBBCフィルハーモニック(あのBBC交響楽団とは別のオーケストラ)もまた実に良い演奏を聞かせている。
レスピーギはローマ三部作だけでない(もちろん、あれは凄い名作だとは思うが)のだ。
by Schweizer_Musik | 2009-01-27 06:21 | ナクソスのHPで聞いた録音
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