春はあけぼの…音楽を聞こう -34. 清瀬保二の琉球舞踊 (1936)
作曲者 : KIYOSE, Yasuji (清瀬保二) 1900-1981 日本
曲名  : 琉球舞踊 (1936)
演奏者 : 花岡千春(pf)
CD番号 : Bellwood Records/BZCS-3036〜7
小川典子の演奏は こちら

立春を過ぎたとは言え、春は名のみの風の寒さ…。
それでは、清瀬保二のピアノ曲全集から、沖縄の音調を使用したエキゾチックな作品で少しだけ温かさを先取りしよう。
ナクソスにある小川典子さんのピアノはやや硬質な響きで全体としては今ひとつだが、この花岡千春氏のピアノは木質の温かさがあり、こうしたテクニックで聞かせる作品でない平易な作品では大きな力となる。

さて、清瀬保二は山田耕筰などの次の世代に属している作曲家で、日本独特のテトラコルド、あるいはモード、音階を取り入れた作風で知られるが、更に5拍子などの変拍子、曲によっては多調性なども使いこなす、意外なほどモダンな作品を書いていた。
「琉球舞踊」は全3曲、5分半ほどの短い小品で、演奏も平易で初心者でもなんとかなるだろう。そんな音楽でありながら、こめられたアイデアは実に興味深いもので、第3曲の中音域でのオスティナートにのせて緩やかに流れていく音楽を聞きながら、ラヴェルの協奏曲(両手)の2楽章を思い出していた。
第1曲目から5拍子のちょっとイレギュラーなアクセントとともに沖縄音楽独特のスケールが耳に飛び込んできて「ニヤリ…」。そうかこういう方法もあったんだと思ったりした。
冒頭の音形が全曲のイデーとなって、様々なものに変容していくわけだが、小品ながらさすがである。
by Schweizer_Musik | 2009-02-08 04:05 | 春はあけぼの…音楽を楽しもう
<< 大栗 裕の「擣衣」を聞く ドレスデン・シュターツカペレが... >>