ノイマンのゲヴァントハウス時代の名演!マーラーの交響曲第7番
作曲者 : MAHLER, Gustav 1860-1911 オーストリア
曲名  : 交響曲 第7番 ホ短調 (1904-05)
演奏者 : ヴァーツラフ・ノイマン指揮 ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
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ヴァーツラフ・ノイマンは世評はどうかは知らないけれど、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団時代が一番良かったように思うが、どうだろう。1968年のソビエトによるプラハ侵攻さえなければ、彼はゲヴァントハウスで仕事をもう少ししていたことだろう。
しかし、クルト・マズアこの事件でチェコ・フィルのシェフであったカレル・アンチェルが亡命したため、チェコ・フィルのシェフに就任するために祖国へ戻り、伝統あるゲヴァントハウス管弦楽団は若いクルト・マズアを迎えたのだった。
ところてん人事(と私が名付けた…ちょっと直球すぎて申し訳ない…)で一番割を食ったのはやはりカレル・アンチェルだったと思うが、仕方ないこととは言え、ヴァーツラフ・ノイマンも最盛期を終えたと私は思う。この後のチェコ・フィル時代のノイマンも決して悪いなどと言う気はないが、私はこのゲヴァントハウスでのいくつかの名演が輝いて見えるのだ。
そして、その最も顕著なのがこのマーラーの第7番である。
今回、ナクソスにこれが出てきたことで、その真価がより多くの人に理解されるのではないだろうか?
実は第5番はかつてLPで持っていたので、よく聞いたものの一つだったが、この第7番は今回はじめて聞いた。そしてその素晴らしさにまさに唖然!であった。
整然としたアンサンブルの美しさと深い感情移入という相反する表現をかくも高い次元でまとめあげたノイマンであるが、それもこれもゲヴァントハウス管という素晴らしい楽器があってのことだ。
ちなみに、この後10年あまりして、ヴァーツラフ・ノイマンに代わってゲヴァントハウス管のシェフとなったクルト・マズアがこの曲を録音していて、それもナクソスのこちらで聞くことができる。
こんな意味深長な聞きくらべが出来るとは、なかなかナクソスさんやりますな…。おかげで、今日は第7番三昧となってしまった。
聞きくらべの結果?私の好みは(あくまで好みで言えば)このノイマンの1968年の録音の方だった。録音はどちらも優秀で、問題を感じなかったが、わずかにクルト・マズアの録音にアンサンブルの輝き、あるいはソロが劣るように思われた。
ところで、第4楽章のソロは神奈川フィルにも客演されたゲルハルト・ボッセではないだろうか。またホルン・ソロはこの時代ドレスデン・シュターツカペレの代名詞のような名演奏家ペーター・ダムもいたはずで、この4楽章で絡んでくる木管(なんて美しい!!)の中でビロードのように柔らかでよく通る音がダムではないかと想像したりしている。
この後、確か1969年頃に彼はドレスデン・シュターツカペレに移ったのだ。(ちなみに、ダムは晩年のフランツ・コンヴィチュニーとシューマンの4本のホルンのためのコンチェルトシュテュックを録音している)
とは言え、駄演などと言う気は全くない。このところ私の中でマズアに対する評価は高くなっている。そしてこの演奏でもその思いは裏切られることはなかった。

追記
ヴァイオリン・ソロはどちらもゲルハルト・ボッセではないかと思われるが、これは未確認。出来れば識者のご教示を乞いたい。
by Schweizer_Musik | 2009-02-14 21:03 | ナクソスのHPで聞いた録音
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