メータ指揮NYPによるヴェルレクのライブ録音
作曲者 : VERDI, Guiseppe 1813-1901 伊
曲名  : レクイエム (1874)
演奏者 : ズビン・メータ指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック, ムジカ・サクラ合唱団, モンセラート・カバリエ(sop), ビアンカ・ベリーニ(m-sop), プラシド・ドミンゴ(ten), ポール・プリシュカ(bs)
CD番号 : SONY-Classical/SICC 1145〜6

1980年10月24,25,27日ニューヨーク、エヴリ・フィッシャー・ホール録音とあるので、ニューヨーク・フィルハーモニックの音楽監督となって3年目頃のライブではないだろうか?
テープ・ノイズがかなり盛大に入っていて、iTuneのイコライザを久しぶりに使って聞いたけれど、だいぶん聞きやすくなった。パウゼ(休符)の部分でノイズがふっと大きくなるのだから、始末が悪い…。
最近、ゲルギエフの録音を聞いたけれど、あれはつまらなかった。みんな良いと言うけれど、私には全く面白くなかった。それに比べるとこの演奏はずっと親しみを感じる。レクイエムに親しみというのもおかしな話であるが…。
ソリストたちの状態が良いこともこの演奏の良いところだ。合唱もなかなか迫真の歌で聞かせる(怒りの日など)。
この曲と言えば、アルトゥーロ・トスカニーニとヴィクトル・デ・ザバータ、そして2種類の古いトゥリオ・セラフィンの録音などから、フリッツ・ライナーがウィーン・フィルを指揮したものや帝王カラヤン、クラウディオ・アバド、カルロ・マリア・ジュリーニなど、数多くの名演が存在するが、プラシド・ドミンゴの緊張感みなぎる高音が魅力的なこのズビン・メータ盤もその中に入ると思う。
「Rex tremendae (みいつの王)」を聞きながら、ソリストがオペラチックに良い方が、この曲の場合は映えるなと思った。
モンセラート・カバリエも、こうした音楽ではさすがに存在感抜群である。オペラを歌うのはとっくに無理だったと思われるが(いくらなんでもあの体型は私が言うのもなんだけれど…ちょっと…)こうした作品で聞かせる声はさすがに凄いとしか言いようがない。ところどころ、ライブ故の傷はあるけれど、そんなことなんてどうでも良い。素晴らしい演奏だ。
合唱も実に素晴らしい。サンクトゥスのフォルテからピアニシモまでよくコントロールの行き届いた歌唱は第一級のもの。アメリカの合唱と言えば、ロバート・ショウなどがいたけれど、かなり荒っぽいものが多いことも事実で、この演奏も全く期待していなかったのだが、これは大いに予想が良い方にはずれた。
これで二千円しないのだから、買って損はないと思う。しかし、何故皆ゲルギエフが良いと言うのだろう?もう一度聞いてみようか…。
by Schweizer_Musik | 2009-03-25 21:50 | CD試聴記
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