作曲者 : ROPARTZ, Joseph Guy 1864-1955 仏
曲名 : 弦楽四重奏曲 第3番 ト長調 (1924) 演奏者 : スタニスラフ四重奏団【ローラン・コーセ(vn), ベルトラン・メヌー(vn), パウル・フェントン(va), ジャン・ド・スペングラー(vc)】 このアルバムは こちら ティパニ・レーベルのナクソス参戦で、ホント、寝る時間も惜しんでナクソスを聞きたくなってしまう状態に陥りそうだが、録音は20タイトルほどで昨日は新たなアップはなかった。この分ではしばらくこの状態が続くのだろうか? しかし、ロパルツの作品がまとまっているなんて嬉しい限りで、前から聞きたいと思っていた弦楽四重奏が二枚分も入っていたことで驚喜!!である。 早速聞かせていただいたが、誠に美しく、第2番と第3番、どちらを書こうか迷った末、第3番となっただけ。何という作品なのだろう。ドビュッシーより二歳年下のロパルツは最初法律家の勉強を大学でしてからパリ音楽院に入り直してマスネなどに師事した変わり種で、1887年からは晩年のセザール・フランクに師事し大きな影響を受けている。 彼は経験をつむに従って、このフランクの影響から自分の語法を見つけていくのだが、その過程が少しずつではあるものの、ようやく音で確認できるのは嬉しいことである。 モード技法を自らのものとした第2番から、ドビュッシーなどの印象派の技法も取り入れていった第3番のこの2曲はロパルツの作品の中でも特に重要な作品ではないだろうか? そう多く聞いているわけではないが、そんな印象を強く持った次第である。 彼もル・フレムほどではないにしても、長生きだった。1929年に引退して故郷のナンシーに帰ったとあるが、亡くなったのが1955年だから、つい作風が保守的などと誤解されてしまうのも事実で、そうした誤解が彼の評価の低さ、知名度の低さにつながっているとしたら大変気の毒な話だ。 第2番では、シェーンベルクの「淨められた夜」につながる爛熟した後期ロマン派の響きが少し混ざっていて、なんとも言い難い濃厚な味わいであったが、この3番は長調ということもあるのかも知れないが、もっと柔らかで軽妙である。 こんな鉱脈に出会えるとは思ってもみなかった…。ナクソスに入っておられる方はぜひ一度いかが?スタニスラフ四重奏団の演奏も過不足のないもので、この知られざる作品の演奏としてはまずまずだった。(以前ダルクローズの弦楽四重奏曲のCDを聞いたけれど、あれはピッチの甘さが気になってちょっと…だった)メンバーが変わったのだろうか? 追記 第2ヴァイオリンがギー・ニー(と読むのだろうなぁ…心配だ…)から1999年に現在のベルトラン・メヌー(これも読み方が良いのかわからないが…)に代わったそうだ。だから良くなったのかどうかは分からない。 さらに追記 今、第6番の弦楽四重奏を聞いているのだけれど(こちら、ロパルツは第3番を書いた頃から作風はほとんど変化していない(もちろん作品は違うが、作品様式という点で)。功成り名をあげた後の彼は、悠々自適だったかどうか走らないが、作曲については新たなものを付け加えたとは思えない。但し、第3番が五十才の時の作品である。 第6番は1951年の作品なので、ほとんど晩年と言って良いのかも知れないが、颯爽とした主題は驚くほど瑞々しい感性によるものだ!!終楽章のフガートにはちょっと驚いたけれど、こういう古典的な技法がそのまま出てくるところにロバルツが基本的に19世紀の作曲家であり、フランキストとして出発したことを物語っていると思う。 おそらくは、自らの生涯を思いめぐらせていたのではと思う。 これが八十代半ばを越えた作曲家の音楽なのだろうか?驚嘆すべき頭脳だ!
by Schweizer_Musik
| 2009-03-27 08:48
| ナクソスのHPで聞いた録音
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