ヴィオッティのヴァイオリン協奏曲第22番
作曲者 : VIOTTI, Giovanni Battista 1755-1824 伊
曲名  : ヴァイオリン協奏曲 第22番 イ短調 (1792-97頃)
演奏者 : マンフレッド・シェルツァー(vn), ヘルムート・コッホ指揮 ベルリン室内管弦楽団
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私にとって、ペーター・リバールの名演が今も谺するこの音楽。なんと珍しいナルディーニの協奏曲も入っていて、これまたリバールのあの名盤と同じ組み合わせということで、私としては意識しないわけにはいかない。
マンフレッド・シェルツァーは1933年ドレスデンに生まれたヴァイオリニストで、1970年代はじめにはクルト・マズアがカペルマイスターを勤めるライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサート・マスターを務めていた。
だが、ソリストとしてよりも1976年以降ドレスデンとベルリンで後進の指導を行っている方が有名かもしれない。
そんな彼のバイオリンは私にはややピッチが甘く感じられるが、その独特の緩さがちょっとした味わいになっていることも事実だ。
ペーター・リバールはスイス・ロマンド管弦楽団やヴィンタートゥーア・コレギウム・ムジクムなどのコンマスを長く勤め、ジュネーヴ音楽院で後進の指導をし、演奏家を引退後もマスター・クラスで後進を指導していた。この点でもちょっと似ていなくもないが、音は大分違うなと思う。
シェルツァー先生のピッチは、私にははじめから終わりまで気になるものであった。きれいな音を持っているが、アルチュール・グリュミオーのような震い付きたくなるような美音というわけでもなく、聞き終えてから結局ペーター・リバールの録音で口直しならむ耳直しをしてしまった。
悪い演奏ではないが、リバールやグリュミオーの演奏で耳が肥えてしまっている私としては、やや魅力に欠けるものだった。
オケは素晴らしい。ヘルムート・コッホ指揮のベルリン室内管弦楽団は素晴らしい共演ぶりである。ソリストに私はあまり共感できずにおわってしまったが、全体としては準推薦くらいの出来映えではないかと思う。
残念だが。ステレオならグリュミオー、モノラルならペーター・リバールというのがまだまだ続きそうである。
by Schweizer_Musik | 2009-03-30 20:45 | ナクソスのHPで聞いた録音
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