「夜のガスパール」分析 その3
第1曲「オンディーヌ」その2

9の和音を中心としたこの作品は、主題の提示とその確保を行った後、小さなな発展(動機の音程的な拡大など)による推移部に入る。
推移部では主題の中のこの動機が重要な役割を果たしている。
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音列は主題の2小節目から3小節目にかけてのものであるが、これが拡大し、カデンツ(ritがかかる部分)でメシアンの言葉によると左手のスケールにハープの書式によるスケールが出てきて第1主題の提示を終えるのである。
古典的な形式と同じく、終止を経て第2主題の提示に移る。
第2主題を以下にあげておく。
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この第2主題は第1主題とどこが違うのかと、漫然と聞いているとわからない。それほどよく似た「感じ」があるが、緩徐楽章のソナタとして有名なベートーヴェンの例のごとく、主題間の対比が重要なソナタ・アレグロとは異なる世界なのだということを理解しておく必要がある。
ともかく、調性はGis音を主音としたGis-Aie-H-Dis-Eis-Fis-Gisというヘキサトニックで出来ていて、それがまとう衣装は全く第一主題と同じなのだ。
メロディーを形作る動機は、推移で散々使われた音列動機をここでも徹底して使っている。「夜のガスパール」分析 その3_c0042908_18351186.jpg
しかし、大きく違う点が一つある。主題の2小節目から和音が右の譜例のものに置き換えられ、色彩の変化をもたらしているのだ。

以下続く。
by Schweizer_Musik | 2009-04-01 18:36 | 授業のための覚え書き
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