山の事故…
北海道の山で10名もの人たちが遭難されたという。ツァー登山ということで、ツァー会社の責任を問う言葉も聞かれるようだが、夏山でも標高2000メートル以上の山で雨風に打たれればこういう悲劇も起こりうる。
夏なのに低体温症で亡くなるなんて、この暑さの中にいたらわかりにくいだろうが、昨日も読んでいた松方三郎の「アルプス記」の中でもそうした記述があったことを思い出していた。
軽装備で山に入ったことを批判したり、悪天候で強行したことは確かに批判されて仕方がないのかも知れないが、私に言わせれば、命がけの山登りをするのだからそれはあくまで自己責任であるべきだと私は思っている。そうした犯人捜しで終わっては、事故は教訓化されず、個人の問題とされて終わってしまう。それでは事故はまたまたくり返されるであろう。
事故を起こしたツァーの責任者である山岳ガイドがどういう知識と経験を持っていたのか、その点をきちんと事故の原因とともに調べるべきだ。
最高の教養と能力、深い知識と正確な判断力。スイスで一番偉いのは山岳ガイドだと、スイスの山について書かれた多くの本が書いている。
それは、スイスの山岳ガイドの話、特に、槇有恒などがグリンデルワルドのガイドたちと共に登った歴史などに学んだ私のこの事故に対する思いである。
ツアー会社がそうした山の知識を知り抜いたガイドを育成していたのか、客の命を預かるガイドの有り様は問われるべきだろう。
山好きとは言え、私は登るより眺めるばかりであるが、こうした遭難事故には本当に心が痛む。
事故を起こしたツアー会社を批判するのは簡単だが、ニュースなどの報道の仕方はずいぶん薄っぺらで、問題を矮小化して終わるのではないかと、とても気がかりである。
もっと根本的な問題、山のプロたる山岳ガイドをどう育て、遇するべきか…。私はそれこそが事故の問題点だと思う。
次の写真は、リストがマダム・ダグーとの逃避行の途中に立ち寄ったヴァーレン湖の風景。左手は水面に広がるさざ波とボートを漕ぐ櫓を、そして右手は遠く急峻な峰に谺するアルペン・ホルンの歌…。夏山と言えど、皆さんご注意あれ!!
山の事故…_c0042908_22383991.jpg

by Schweizer_Musik | 2009-07-17 22:42 | 日々の出来事
<< ペルゴレージのスターバト・マーテル 昨日はコンサート、今日は授業で... >>