昨日の授業
テレビがますます低俗になっていく…。きっと野次馬的に面白いのだろうけれど、覚醒剤を使っていたという女優の話をこれでもかというほどほじくり出して電波にのせる…。犯罪を犯した者を単に有名人だったとは言え、その罪を認めさせ、更生させるのはマスコミの役割ではなく、罪をつぐない社会復帰する過程を正確に、そして冷静に伝えることが役割のはずだ。
彼女がどういう子供時代を送っていたとかそんなことを私たちが知らなくてはならないこととは到底思えない。テレビをつけて「サカイ」という単語が出てくるとすぐに消すという状態である。もういい加減にしてほしいと思うけれど、マスコミはやり始めたら止められないらしい。

昨日の授業は、無調の音楽をどう作るのかということを夏休み前の最後の授業に引き続き行った。今回はシェーンベルクの「ワルソーの生き残り」のスコアを分析したりしながら(結局管弦楽法の授業までこれを引っ張ってしまった…笑)どう無調にしていくのかということを説明した。
無調ってデタラメに音を並べているの?と言われることもなきにしもあらずである。まっ当たり前のことだけれど、デタラメに音を並べて無調になんか絶対ならない。
ともかく…、無調の音楽を書いてみよう。普通は良い音楽を書こうと思って作曲するのだけれど、ここではその正しい道からいささか逸れてみる。つまり目的は無調の音楽を書くことを第一義として作曲してみよう。
これは、ある意味でチャレンジである。今もってチャレンジであり続けていると私は考えているが、それは調性という音楽の書き方の基本、言ってみれば絵画における遠近法を捨てたピカソやブラックのキュビズムを音楽で試みるようなものであった。
シェーンベルクの「架空の庭園の書」あたりがその最初であろうか、あるいは弦楽四重奏曲を無調の試みとしてあげている人もいるようだが、この試みがやがて名作「ピエロ・リュネール」に結実することとなる。
音楽と絵画を同一視するのはどうかと思わなくもないが、キュビズムの出現と無調の「完成」が時期を一にするのは象徴的である。

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右手はハ長調のアルペジオ、左手は黒鍵だけのペンタトニックである。聞いてみたいならこちらのSCHOOLのフォルダのEx1で入っているのでダウンロードしてみてほしい。ちょっとドビュッシーのようにも聞こえるかもしれない。右手を白鍵、左手を黒鍵という風に考えていただければ簡単だ。
右手を白鍵、左手を黒鍵という風に考えていただければ簡単だ。これを少し発展させると全音音階を使う方法が思いつく。全音音階は2種類しかないが、この2種類を同時に鳴らせば、確実に無調になる。ただうまくやらないと右手と左手で通常の調性のハーモニーになってしまうのでご用心!次の例もちょっとそんなところもある…(笑)。
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音は同じところ(こちら)にEx2としてmp3のデータがあるのでダウンロードして聞いてみるとよい。
それならもっとと考えるのであれば、調性否定型の方法を試してみると良い。
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ある音程が考えられる調性の可能性を否定していくことで、調性感をなくしていく方法なのだが、作るのに結構手間がかかる上に、旋律ののびやかさが失われがちになることが多いと思われる。
これに対して、普通の調性音楽なら出てこないような広い音程を使うことと、半音階、そしてその間に音を一つ、二つ加えることで無調を作り出す方法である。
これが一番作りやすいようで、多くがこうした方法をとっている。
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このメロディーの中にはCからの半音階の下降と、Gからの半音階の下降が隠されている。探してみると良い。リズムはこうした音楽では特に重要で、メロディーの抑揚で興味を惹くことは期待できないのだから、リズムをより鋭くしたり、音程を予想外の音に持っていくことで変化をつけて興味を惹くように書くことが一般的である。
2つの半音階を隠して書いたが、別に2つでなくても良い。
これに、半音でぶつかる和音わつけるとより調性感が希薄になる。
このように無調で書くということは、調性をなくすという意志が必要となるのである。決してデタラメに書くのではなく、一つ一つに意志を持たないととても書けるようなものではない。ただ、それが面白い音楽なのかどうかは別問題であることを忘れてはならないが…。
このメロディーにクラスター(音塊)の響きを背景につけると、ちょっとしたミステリーなどの劇伴程度にはなると思われる。
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音は同じところ(こちら)にEx5としてmp3のデータがあるのでダウンロードして聞いてみるとよい。
これらの様々なヴァリエーションを試みたのが戦後の前衛音楽だったのだが、まず最初にその中心になったのはセリエルであった。そのことについて、来週は授業でやる予定である。

続いてオーケストレーションの授業では、弦楽器についてその機能と技術について説明した。ボウイングの説明から、調弦、ポジション、そしてダブルストップなどについて、その技法を使ってのアルペジオなどの弦楽器特有のフレーズやフラジオレット、ピチカートのいくつかの種類についてなどをザァーッと説明して終えた。

追記…
体調を崩して休んだKさん、よく読んでおいて下さいね…。くれぐれもお大事に!そして直ったら元気なお顔を見せて下さい。待っています。
by Schweizer_Musik | 2009-08-27 12:43 | 授業のための覚え書き
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