第19回 神奈川オペラフェスティバル '09 「愛の妙薬」
横浜シティ・オペラの公演で「愛の妙薬」に行ってきた。
先週のオペラ・プロジェクトによるシャブリエの「エトワール」に続いて、私にしては画期的な連続オペラ観劇となったが、成果は充分過ぎるほどあった。
演出、セットは粟國 淳演出だけあって、素晴らしいものだった。キャスティングがとても上手いと思った。

主役のアディーナ役の浅野美帆子は、高度なアジリティを屈指した素晴らしい歌唱であった。ただ、中音域がオケに埋没しがちで、もう少し通ると最高だっただろう。演技も上手いと思った。
ネモリーノ役の藤原海考は全体に硬さが目立ったが、後半に向けて良くなっていった。終わり直前の有名な「人知れぬ涙」はなかなかの歌唱で満足できたが、後一歩という印象。(かなり厳しく評価してのことで、充分すぎる出来だった)
ベルコーレ役の竹村淳ははまり役と思った。とても上手く、彼とドゥルカマーラの松山いくお氏の出来が、このオペラを成功に導いたと私は考えている。
合唱はもう少しがんばって欲しいと思ったけれど(先週の「エトワール」の合唱が素晴らしかったので、ちょっと比べてしまった)演技も含めて合格点としたい。
オーケストラは神奈川フィル。指揮は小崎雅弘氏でとても美しい演奏でステージをもり立てていた。我が町のオーケストラは本当に素晴らしいオーケストラになったものだ。

客入りは満員とは行かなかったのは残念なことである。こんな良い公演を楽しまないなんてもったいない。私は心から「愛の妙薬」の世界を楽しみ、アディーナとネモリーノの恋の行方をドキドキしながら見、ベルコーレの間抜けな二枚目ぶりを笑い、ドゥルカマーラの騙しの商売にも笑い、いつしかそこにこのオペラの核心があることに気がついた。
いや面白かった。行かなかった人にはお気の毒であるが、高いお金を払って、外国の歌劇場の引っ越し公演に行くくらいなら、こういう公演に行った方がずっと面白いし、クオリティもひょっとしたらずっと高いかも知れない。そろそろ舶来礼さんはクラシック音楽でも止めた方が良い。(かなり暴言ですね…ごめんなさい…追記)
今日は色々なことを考えさせられた公演だった。代表の柳澤さんには随分お世話になった。心より感謝!!あの素晴らしい声で、会場内のアナウンスまでなさっていたのには驚いた。なんて贅沢なことをⅠ!
帰りに、Aさんご夫妻、横浜シティ・オペラの代表の柳澤涼子さんにご挨拶して、ちょっとCDショップなどをひやかしてから帰宅。充実した日曜となった。
by Schweizer_Musik | 2009-11-01 21:54 | 音楽時事
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