フランソワが弾くショパンのピアノ協奏曲第2番
作曲者 : CHOPIN, Frédéric François 1810-1849 ポーランド
曲名  : ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 Op.21 (1829-30)
演奏者 : サンソン・フランソワ(pf), パウル・クレツキ指揮 フランス国立放送管弦楽団
CD番号 : EMI/CZS 7 62951 2

サンソン・フランソワにはルイ・フレモー指揮モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団と共演したステレオ盤がある。大体フランソワのショパンの協奏曲と言えばそちらが一般的だが、この旧盤も捨てがたいところがある。
この演奏は1958年6月23,24日パリ、サル・ワグラム録音で、もうステレオで録音されていても良い頃のことである。EMIがステレオ録音導入に遅れたことは、大きな判断ミスであったが、そのおかげでこうした珠玉の演奏がモノラルということであまり注目されることなく、忘れられてしまうことになったのは残念なことだ。
CD時代になって再発されたことを知って、すぐに買ったセットにこの演奏が入っていた。ステレオ盤のやる気のなさそうなフランソワの演奏に対して、この雄弁なことといったら…。
今日ではあまり使われないカット版で(新盤はカットなし…)ある。フランソワも指揮者のクレツキも作曲をする人なので、このあたりをどう判断していたのか聞きたいところではあるが、当時としてはカット版も一般的だったので、特に不思議はないと言われればそれまで…ではある。
生気の漲るショパンである。なんといっても流れがとても良い。後にクスリに手を出し、身体をボロボロにしてしまった頃のフランソワの演奏からは想像すらできない活き活きとしたショパンが紡ぎ出されている。
実は同時に録音されたシューマンの協奏曲は目を見張るばかりの名演で、あのリパッティの名演とともに双璧となっている。
ステレオならルプーをまず第1にあげるが、モノラルならば条件の悪いリパッティに心を残しながらも、フランソワ/クレツキ盤が第1にあげるべき名盤だと思っている。
後にスイス人となるクレツキのこれは名演だ。ショパンもシューマンも素晴らしい献身ぶりで、フランスのオケから骨太の響きを導き出していて、なかなか良い鳴りっぷりである。モノラル最後の頃の録音で状態も当然ながら良いし、手に入るならぜひお聞きになることをお薦めしたいものだ。
by Schweizer_Musik | 2009-11-20 01:37 | CD試聴記
<< 温故知新 Vol. 26 シベ... 温故知新 Vol. 25 バル... >>