パドモアが歌う「冬の旅」
作曲者 : SCHUBERT, Franz Peter 1797-1828 オーストリア
曲名  : 歌曲集「冬の旅」D.911 (1827) (W.ミュラー詩)
演奏者 : マーク・パドモア(ten), ポール・ルイス(pf)
CD番号 : HM/HMU 907484

ようやく通常の時間割?に戻って早朝からの仕事を行う。すいすいはかどり、ほったらかしとなっていた滝廉太郎の「花」のオケ編が進む。あと20小節ほどとなり一休み。大人しいアレンジである。ピアノの伴奏での寸法そのままにやっている。もちろんピアノの譜面からのオーケストラへのアレンジなので、伴奏は大きく変えているし、一部、和音(バスだけであるが)を変更した。
さてさて、そんな話はどうでも良い。このCDはすばらしい。最近、久しぶりにペーター・シュライヤーとスヴャトスラフ・リヒテルの演奏も聞いたが、声質がペーター・シュライヤーの場合どうしても甲高くなってしまい、「冬の旅」にしては落ち着きがないななどと贅沢な不満を感じたりしていたが、こちらの方が歌に関しては最高だと思う。ピアノも大変良いけれど、比べた相手がリヒテルでは少々分が悪い。リヒテルの歌への細かな反応と歌詞への深い理解には頭が下がるが、ポール・ルイスはそれでもよく健闘している。
若者の歌なのだ。絶望をきっかけとして広い世界へとさまよい出た彼が、死を意識したとしてもおかしくはない。だが、彼は死ぬつもりで自らの葬送の歌を歌っているのではなく、若者らしい絶望とほのかな未来への希望とを歌い上げているのだ。
1曲目の「おやすみ」で私はすっかりこの演奏に魅せられてしまった。速すぎることもなく、あまりにトボトボと死にかけのような足取りでもないテンポ設定に、ようやく理想に演奏に出会えた喜びで一杯だ。
夕べ通して聞いて大変気に入り、今後、私のこの曲のペストはこの演奏ということに決定した。学校用のHDも入れ直したところである。
by Schweizer_Musik | 2010-01-05 07:59 | CD試聴記
<< 初詣。 ボベスコの来日時のライブ録音か... >>