ヒンデミットのサクソフォン・ソナタについて
授業でヒンデミットのサクソフォン・ソナタを分析した。その簡単なノートを以下にあげておく。譜例などは今回は作らなかったので、わかりにくいかも知れない。また音源はナクソスにあれば良いのだが…。残念ながら見つけられなかった…。(→HJMさんのご教示によりこちらで聞けることが判明。)

1939年。アメリカ亡命時代のヒンデミットによって書かれた10分程のアルト・サクソフォンとピアノのための作品。
古典(バロック)の組曲のスタイルを二重奏のソナタに移植したもので、緩-急-緩-急の全4楽章からなる極めて新古典主義色の強い作品である。
ハーモニーは4度構成の和音をベースにしている。
第1楽章はゆったりとした序奏であり、サックスとピアノにそれぞれテーマが出てきて4度くり返して終わる単純な形をとっていて、バロックの前奏曲の様式を移植したものと言えよう。Es音が保続する前半と順次進行で下降する後半に分かれたテーマで、最初サックスが、続いてピアノが役割を入れ替えてくり返し、これをもう一度多少の変奏を加えて行うというものである。

続く第2楽章は急速な音楽で、恐らくはブーレであろう。三部形式で出来ている。
最初の部分は、三声のポリフォニーで出来ているAと、バロック風のマーチとも言えるホモフォニックなBが交互に出てきてA-B-Aでとなる。
中間部では鏡像の(回文調の)面白いリズムが執拗にくり返される。

第3楽章はアリアである。長い音符と短い音符の対比がこの楽章の主たる構成要素となっているが、長い音だけ取り出すと、第1楽章の冒頭のメロディーからこれが作られていることがわかる。ちなみにこの曲は全体が一つのアイデア(第1楽章冒頭のモチーフ)を基にしてそれの様々な変容という形で出来上がっていることも付け加えておきたい。
バルトーク風の夜の音楽とでも言えるこの楽章に続いて、終楽章はジーク、もしくはタランテラである。
長いピアノの序奏は、終楽章の提示部である。これに続いてサックスがふわりと入ってくるのだが、古典派の協奏曲のスタイルを作曲者は想定していたのかも知れない。
9/16のピアノの序奏に対して、サックスが入ったところは6/8で倍にリズムをとるのでゆったりと聞こえる。そしてサックスが6/8のまま、ピアノは9/16に戻って音楽は急速なジーク(もしくはタランテラ)に戻り、極めてユニークな終楽章が形作られるのである。


今日はようやく帰り着いて夕食をいただいたところ。いただいたコメントへのお返事は明日にします。いやぁ…疲れた。
by Schweizer_Musik | 2010-01-19 23:01 | 授業のための覚え書き
<< アンドレとカラヤンによるモーツ... ベートーヴェンのミサ・ソレムニス雑感 >>