ギトリスで聞くストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲
作曲者 : STRAVINSKY, Igor 1882-1971 露→瑞西→仏→米
曲名  : ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 (1931)
演奏者 : イヴリー・ギトリス(vn), ハロルド・プリン指揮 コンセール・コロンヌ管弦楽団
CD番号 : VOX-7818

今頃はこの曲を皆は聞いていることだろう。ちょっとオケはこわいなと思いつつ、今日は時間をこういう風に使うとは思っていなかっただけに、意外と自分のデリケートな部分をあの演奏会でやられてしまったことを認識した。
この曲をどう演奏したか、神尾さんはきっととても上手くやったことだろう。この曲はよほどのことがない限り、つまらなくはできないほどうまく書かれているのだ。それにストラヴィンスキーである。下手に情感をこめるとひびが入ってしまうような精巧な世界である。まさかピリオドでこれをやる馬鹿はいないだろうけれど…(笑)。
この演奏は1952年の録音というから、古い!!指揮者の名前もよく知らない。この演奏でしか聞いたことがないので、どういう人か説明のしようがないが、なかなか良い演奏を繰り広げている。
この演奏の魅力はそれでもほとんどがイヴリー・ギトリスだ。彼が同時代の作曲家の作品をこうしてとりあげていることは嬉しい限り。そしてそれが上手い。超絶的に上手い。語り上手というべきか。
この新古典主義の権化のような作品をギトリスはとてもとても雄弁に歌い上げる。カスカスに演奏されても、なんとか聞けてしまう作品だけれど、このように雄弁なバイオリンだともの凄い説得力だ。グリュミオーやパールマン、ヒラリー・ハーン、ヴェンゲローフの美しい演奏もあるが、ギトリスを聞いてしまうとどうも聞けなくなってしまう。
私の持っている演奏は、ステレオ・プレゼンスが少し加わっているみたいなのだけれど、当然モノラルの時代のものなので、そう立体感があるわけではないが、それまで巻き込んで聞かせてしまうほどの名演だ。
写真は春らしい一日の終わりに、何年か前に泊めていただいたスイスのピアニスト津田理子さんのお宅の庭先で撮った一枚。この花ももう終わりに近いようだった。スイスの春は短い…?。
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by Schweizer_Musik | 2010-03-12 19:11 | CD試聴記
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