ヴィラ=ロボスのブラジル風バッハ 第1番
作曲者 : VILLA-LOBOS, Heitor 1887-1959 ブラジル
曲名  : ブラジル風バッハ 第1番 (1930)
演奏者 : プレース・チェロ八重奏団【アンソニー・プレース(vc), ロジャー・スミス(vc), ステファン・オートン(vc), デイヴィッド・チェウ(vc), クリストファー・ヴァンダースパー(vc), マルティン・ロヴデイ(vc),ジョン・ヘレイ(vc), ボウル・ケッグ(vc)】ロビン・フィアマン(vc)
CD番号 : hyperion/CDA66257

8本のチェロのための作品である。演奏者のクレジットには9名書いてあるけれど、細かな事情は私にはわからない。とりあえず、そのまま写しただけ…。
しかし、演奏はこの曲に関する限り、いくつか聞き比べてみたけれど、最も良いと思われる。個々の奏者の技量も極めて高く、アンサンブルも緊密で、声部間のフレーズの受け渡し、やりとりも実にスムーズで音楽的。これでつまらない演奏になるわけがない。
ブラジル風バッハは全部で9曲あるけれど、第5番以外は「カイビラの小さな汽車」という魅力あふれる楽章を持つ第2番ぐらいがたまにとりあげられる程度で、他はあまり…という状態なのは極めて残念だ。
この第1番はチェロのアンサンブルという点で、第5番と似ているから、一緒にCDに入っていることが多い。実はこれもそうだ。
このCDの第5番の演奏はジル・ゴメスというソプラノが歌い、プレース・チェロ八重奏団のメンバーと共演しているが、こちらもまずまずの出来映えであるが、この一番があまりに見事なのでとりあげることにした。
全部で3楽章からなり、舞曲風のイントロダクションに続いて前奏曲とフーガが続くというもの。第1楽章の舞曲風のイントロダクションがなかなか楽しいし、メロディアスな前奏曲とリズミックな面白さに溢れたフーガは私の好みにあまりにピタリとはまるので、どんな演奏でも楽しんでしまうのだけれど、この演奏は別格だ。

このCDとの出会いはもう二十年近く前のことになる。バッハの平均率クラヴィーア曲集の編曲を集めていた頃にこのCDに出会ったのだった。
お目当てはヴィラ=ロボス編曲のバッハの平均率クラヴィーア曲集であった。それも良い編曲で演奏も良かったのだけれど、最初は期待も何もしなかった第1番の素晴らしさに魅了され、それが私の大のお気に入りとなってしまった。
以来二十年近く、折りに触れて聞い来たが、全く飽きることはなかった。またその間にもこの曲の別の演奏も聞いているのだけれど、結果、プレース・チェロ八重奏団の演奏を上回るものにははついぞ出会うことはなかった。
まだお聞きでないという方には、声を大にしてお薦めする次第である。

写真は夕闇迫るジュネーヴとサレーヴ山。山頂はすでにフランス領である。丘の上あたりからは天気の良い日はモンブランが望めるそうで、フランツ・リストがマダム・ダグーと高台に愛の巣を構えたのだそうだ。
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by Schweizer_Musik | 2010-03-23 21:06 | CD試聴記
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