ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第5番をポミエの演奏で
作曲者 : BEETHOVEN, Ludwig van 1770-1827 独
曲名  : ピアノ・ソナタ 第5番 ハ短調 Op.10-1 (1796-98)
演奏者 : ジャン=ベルナール・ポミエ(pf)
CD番号 : Warner Classics/2544 62767-2

その昔、大学受験でピアノの不得意な私が弾いたのがこの曲だった。なんとか大学に滑り込み入学を果たしたけれど、この曲の第1楽章を弾く演奏家たちのテンポがどれも猛烈に速く、Allegro molto e con brioの"molto"を過大に意識し過ぎているように感じ、どれも気に入らなかったものだ。
自分が昔弾いた曲ということもあり、見かけたら買って聞いてみるのだけれどどれも速すぎるのだ。私に言わせれば冒頭の動機に付点の意味が不明瞭になるほどの速さは多分ベートーヴェンは求めていない。その後の展開の重要な動機なのだから、それが雑に聞こえるほどのテンポは間違っているのではと思う。
終楽章も速すぎる演奏があるけれど、こちらは付点のリズムが出てこないのである程度の速さには耐えられる。しかし、第1楽章は無理だ。
その点、このジャン=ベルナール・ポミエの録音は私がはじめてこの曲の演奏で満足できた演奏であった。第2楽章もベタつかず、さわやかな歌い廻しで大変良い。ピアノの音も実に美しく、やや硬質ではあるものの、音色の変化に欠けていないので音楽が立体的に聞こえる。
この全集は4000円ちょっとで出ているので、ずいぶんお買い得な買い物だと思う。他の曲の演奏も含めいずれも素晴らしい。これは良い買い物だった…。
それでもベートーヴェンはドイツ人が演奏するに限るとお思いですか?

写真はストラヴィンスキーの家があったレマン湖畔の古い町モルジュの夜。
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by Schweizer_Musik | 2010-04-10 08:41 | CD試聴記
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