作曲者 : BOLCOM, William 1938- 米
曲名 : 交響曲 第3番(室内オーケストラのための交響曲 "(Symphony for Chamber Orchestra") (1979) 演奏者 : ローレンス・レイトン・スミス指揮 ルイヴィル交響楽団 CD番号 : First Edition/FECD-0033 ボルコムの音楽をそうたくさん聞いているわけではないが、この作品は所謂「ゲンダイオンガク」に分類されるものだが、私には比較的聞きやすいものの一つと思う。 全部で4つの楽章からなり、高弦のピアニシモによるかすかなざわめきを背景に、木管楽器が無機質な対話をするところからはじめ、少しずつ場面が変わっていくが、その都度ピアニシモから少しずつ音量を増し、フォルテでの金管の咆哮で序奏部分が終わり、主部にはいる。 この辺りから「ゲンダイオンガク」らしさは後退し、調性が見え隠れしはじめる。しばらく展開した後、最初の高弦のざわめきが少しだけ再現され、さらに展開を続ける。これなら最初の部分は一体何だったのかと、ちょっと疑問を感じていまう。当時の世相というか音楽界の流行を取り入れて作ってみたというところか? 第2楽章はスケルツォ。ピアノが効果的に扱われているが、中間部で普通の調性の音楽が出てきて驚かされる。パッチワークのように色々なスタイルが混在している作品を指向していたのか?そんな中にポリコード風の響きが混ざり、面白いとは思うが、やはり1楽章の冒頭が何だったのかという疑問が頭をもたげてくる。 室内オーケストラと表記されているが、この演奏はそれなりの編成に聞こえる(笑)。まっ良いのだけれど…。 第3楽章はキアロスクーロと表記されているが、これは明暗の対比を強調した楽章で長い音とピツィカートのように減衰音が対比されて出来た曲という意味のように感じた(私の勝手な解釈…信用はあまりおけない)。 短い楽章で、終楽章の前奏曲のような意味合いなのだろうか? ここまで緩徐楽章がないなと思っていたら、終楽章がそれであった。チャイコフスキーの「悲愴」やマーラーの「第九」などで先例はあるが、こういう短い作品では珍しいのではないか? 全体としてゆったりとした楽章から次第にテンポアップし、再びテンポが遅くなるという構成だと思われるが、この終楽章ロングトーンを弦のユニゾンでボツボツとやるだけで、意味ありげではあるものの、感銘度は低い。 この作品はボルコムの作品の中では今ひとつの出来映えのように思われた。 写真はソーリオ第3弾。
by Schweizer_Musik
| 2010-04-11 22:14
| CD試聴記
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