作曲者 : VERDI, Guiseppe 1813-1901 伊
曲名 : レクイエム (1874) 演奏者 : レナード・バーンスタイン指揮 ロンドン交響楽団, 合唱団, マーティナ・アーロヨ(sop), ジョセフィン・ヴィージー(m-sop), プラシド・ドミンゴ(ten), ルッジェーロ・ライモンディ(bs) CD番号 : SONY-Classical/SICC-41~42 昔々、4チャンネルなどというステレオが隆盛を極めていた?頃、ソニーが提唱していたSQ4チャンネルの試聴用レコードをもらってこの曲、この演奏の怒りの日の冒頭の部分が入っていた。 我が家にもすでに4チャンネルのステレオがあったので、それでもらったものかどうかは古いことなのですっかり忘れてしまったが、このレコードがヴェルディのこの名作をはじめての出会いであった。 実は、聞きたいと思いながらも廉価盤で出ていたフリッツ・ライナーのレコードを買ったので、このバーンスタイン盤は手が出ず、CD時代も終わろうという今頃になってようやく聞いた次第。 春に実家に帰った折、友人の井岡さんなどが歌ったCD(朝比奈隆指揮)を聞いて、結構いけるなぁなどと不謹慎にも思ったところだったが、それ以来のヴェルレクとなった。 詳細に書く時間はないが、この演奏はやはり凄いものだ。1970年の録音で、同時期にセント・ポール大聖堂での演奏が映像化もされているので、ご覧になった方も多いだろう。私もこれは持っているし、見てもいる。だが、この は「音だけの」CDはあの頃、わずかな部分だけで強烈な印象を与えたバーンスタインの演奏が、まさに目覚ましいものだったことを理解するにはやはり持っていた方が良いと思った次第である。 アーロヨをはじめとする歌手陣の出来映えも素晴らしいのだが、バーンスタインの弾力のあるリズム感から繰り出される劇性は、宗教的とはあまり思えないものの、ベトナム戦争など様々な反戦の活動をしていた彼のメッセージは大変よく伝わってきた。 そういえば、戦争が始まる直前の第2回(だったと思うが…)ルツェルン音楽祭で、あの美しいイエズス教会でアルトゥーロ・トスカニーニがこの曲を演奏し、世界中に放送され、反戦を呼びかけたこともあった。 平和の祭典でもあったルツェルン音楽祭は、もともとナチス・ドイツがオーストリアを併合し、ザルツブルク音楽祭に出演出来なくなった音楽家、出演しなくなった音楽家を集めて、ザルツブルク音楽祭に代わるというわけではないが、もう一つの国際音楽祭をと意図して創設されたものであった。 トスカニーニやブッシュ兄弟、ホロヴィッツ、ラフマニノフ、そしてスイスに亡命し身動きできなくなっていたブルーノ・ワルターなどが主な出演者となって始まったものである。 その最初の音が、旧ワーグナー邸でのジークフリート牧歌であったというのもいかにも意味深長で、ワーグナーの娘たちがそこに出席していたのである。 バイロイトとルツェルンでワーグナーの子孫たちも戦争で別れて行ったのであり、その歴史を思いながら、このバーンスタインの演奏するヴェルレクに耳を傾けていた。 さて仕事をはじめよう。 写真はそのルツェルンのイエズス教会。オルガンはメッツラー作の比較的新しいものだが、ヨーロッパでは名器として名高いもので、この楽器を使用しての録音も多い。私も何度もこのオルガンを生で聞いたが、それは一種の宗教的体験のようであった。CDももちろん何枚か持っていて、あの得難い体験を聞きながら思い出したりしている。行ったことの無い方はぜひ!!教会なので、日曜の礼拝や演奏会が行われていない限り、自由に入って見学することができる。但しフラッシュを使った撮影は禁じられているのでご注意を…。
by Schweizer_Musik
| 2010-06-11 08:45
| CD試聴記
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