ショパンの英雄ポロネーズを清塚信也氏の演奏で聞く
作曲者 : CHOPIN, Frédéric François 1810-1849 ポーランド
曲名  : ポロネーズ 第6番 変イ長調 Op.53「英雄」(1842)
演奏者 : 清塚信也(pf)
CD番号 : WP/WPCS12404



うーん…、これは…、とりあげるのを止めようかと迷った末の演奏。実は少しも気に入らなかったのである。ファンの方、ホントに御免なさい。良いところをあげるならば、開放的にダイナミックに歌い上げる点に、彼の優れたテンペラメントを感じる。
しかし、それが一本調子になることもあるし、響きの濁りは最初から最後まで気になった。響きの問題は雑なペダリングにあるのではないだろうか。テクニカルな部分を敢えて強調するかのような弾き方も気に入らない。
主題が音域を変えてくり返すところ、どこを聞いても同じ調子で弾いてしまうので、変化とかそういうものは全くなく、彼が作品を解釈しようという意志はとうとう一度も感じなかった。
これではやはり私には駄目だった。よく名前を目にするので、一度聞いておこうと思って手にしたのだけれど、私には無用の長物となってしまった。
辻某のCDでもあったが、このCD(「夜ノショパン」というタイトルがついている)でも彼のオリジナルが3曲入っていた。取るに足らないというと厳しすぎるかもしれないけれど、即興でできる程度の曲をCDで、それもショパンと並べて聞かせる神経にも驚く。全く異なるジャンルの音楽で、私は結局聞き通すことが出来なかった。
他、ノクターンOp.9-2はヴァイオリンとピアノ、ワルツ イ短調 Op.34-2はチェロとピアノに編曲しているが、一体どういう理由でそうしたのか全くわからず。ヴァイオリンそう上手いというほどでもなく、つまらなかったし、チェロはそこそこ聞かせたけれど、ならば練習曲Op.25-7を選ばなかったのはどうしてなのだろう?このイ短調のワルツが、チェロ向きとは私には思えないのだけれど…。

清塚信也氏が、のだめカンタービレで吹き替えをやっていて音楽界にデビューしたとこのCDで知ったけれど、なるほどと思う反面、それで良い演奏ができるというものではないとも思うこととなった。
こうした人が、もてはやされることを否定する気はないが、ここからホントにクラシック音楽が好きという人が増えてくれることを祈るばかりだ。ショパンの英雄ポロネーズを清塚信也氏の演奏で聞く_c0042908_21551593.jpgただ、これを聞いて喜んでいるだけでは、良い耳は育たない。あくまで入門の一時期に聞くだけであろう。
昔は、こうしたところにも、もっと本格派がいたものだけれど…。時代かなぁ〜。

写真はゾフィンゲンの旧市街。
by Schweizer_Musik | 2010-09-27 21:55 | CD試聴記
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