ロドリーゴのアランフェス協奏曲を木村 大の演奏で聞く
作曲者 : RODRIGO, Joaquin 1901-1999 スペイン
曲名  : アランフェス協奏曲 (1939)
演奏者 : 木村 大(g), ファン・ルイス・ペレス指揮 スペイン王立セビリヤ交響楽団
CD番号 : SONY-Classical/SICC20



ギターという音量の極めて小さな楽器と、大人数で鳴らすオーケストラを合わせるなどという無茶を何人かの作曲家が行っているけれど、それというのもこの曲の成功があったからである。
しかし、この曲のスコアは完璧である。盲目の作曲家ロドリーゴが、これほどの技術を身につけていること自体が奇跡としか思えない。スコアを読めばわかる。世俗的な成功をもたらした第2楽章だけでなく、第1楽章、第3楽章も完璧なスコアだ。1音の無駄もなく、書きすぎもなく、足りないこともない。有能なオケと指揮者の手にかかれば、成功間違いなしである。ただしギターにマイクをつけるなりなんなりの音量のバランスをとる工夫をした上でのことであるが…。
録音であれば、そうした心配は回避できる。センチメンタリズムの権化のような第2楽章だって、良い演奏によれば目覚ましい成果を得られるし、ロドリーゴという作曲家の奥深さを知ることとなるのである。
この録音は木村 大氏の演奏は、もう9年ほど前のもので、まだ十代だった…。なんということだろう。実はこれは最近手に入れたというか、最近レンタルして聞いたもの。この曲一曲しか入っていないCDが2000円ほどということで、コストパフォーマンスの悪さと、ジョン・ウィリアムズをはじめとしていくつもの良い演奏をすでに持っているという理由のあってスルーして来た。
この演奏でなければというものはないけれど、敢えて言えば、デリケートな表現にとても長けていると思う。オケは、オーマンディとフィラデルフィア管弦楽団、あるいはアンドレ・プレヴィンとロンドン交響楽団の比ではなく、ソロで聞かせるところで音色の硬さやアーティキュレーションの雑な処理が気になる。
とは言え、若い木村 大氏の記録として、やはり聞いておいてよかったとは思う。(しかし、どうしてフィルアップの曲を録音しなかったのだろう?)

写真はエンゲルベルクの牧歌的風景第2弾。
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by Schweizer_Musik | 2010-10-03 20:49 | CD試聴記
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