武満 徹のノヴェンバー・ステップスを小澤征爾指揮で聞く
作曲者 : TAKEMITSU, TORU (武満 徹) 1930-1996 日本
曲名  : ノヴェンバー・ステップス (1967)
演奏者 : 小澤征爾指揮 サイトウ・キネン・オーケストラ, 鶴田錦史(琵琶), 横山勝也(尺八)
CD番号 : PHILIPS/PHCP-160



小澤征爾のCDで、この曲を取り上げないわけにはいかない。初演のすぐ後に録音されたトロント交響楽団との録音が、長く標準とされていたが、やはりこの1989年の録音で代表させるべきだろう。トロント交響楽団との録音についてはこちらに書いたし、この曲の聞き比べで、この新盤もとりあげたことがある。(こちら)
この曲の簡単な分析も行ったことがある。(その1その2その3その4その5)
だから、またまた取り上げるのもどうかと思ったけれど、小澤征爾の録音では一つのメルクマールと言ってもよい名盤であるし、まだ初演の熱気を帯びたトロント交響楽団との録音が、細部においてまだ荒さを残しているのに対して、ソロの充実も含めてサイトウ・キネン・オーケストラとのこの演奏の完成度の高さはやはり特筆すべき水準にある。
この二人のソリストによる演奏は、もはや望み得ないのだから、この録音の持っている歴史的な意味もはかり知れないものがある。
ニューヨークでの歴史的成功は、無関係の私たちでも誇らしく感じるほどであった。痩せた、小柄な日本人の手から、これほどの強い音楽が編み出されたのである。現代音楽がお嫌いという方には無理にお薦めはしないが、やはり音楽好きならば一度は聞いておいてほしい名盤である。
こうして、記事を書こうと聞き直してみたけれど、圧倒的な完成度で、この水準の録音が今後生まれるとはちょっと考えられないほどである。
前にも書いたが、私の愛聴盤は若杉 弘の指揮したものであるが、この録音の完成度とその意味の高さから、やはり無視するなんて絶対に考えられない。一つの規範とも言うべき演奏であることは間違いない。

写真は坂の町ヌーシャテルの城へと続く階段を城と参事教会のテラスから撮ったもの。
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by Schweizer_Musik | 2010-11-15 22:12 | CD試聴記
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