ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲をシェリングの演奏で聞く
作曲者 : KHACHATURIAN, Aram 1903-1978 露
曲名  : ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 (1939-40)
演奏者 : ヘンリク・シェリング(vn), アンタル・ドラティ指揮 ロンドン交響楽団
CD番号 : MERCURY/432 318-2



この曲は、中学生の時、大阪フィルの定期において、徳永二男氏のソロで聞いたのが出会いであった。あの演奏会で剣の舞以外のハチャトゥリアンの作品を私ははじめて聞いたのだった。
鮮烈であった。血湧き肉躍るとはこういう曲を言うのだなとも思った。そして唯一廉価盤で買えたものがこのシェリング盤であった。
今ではダヴィド・オイストラフやレオニード・コーガン、ルジェーロ・リッチなどのいくつかの録音をはじめ、イツァーク・パールマンなどの新しい録音や、若いヴァイオリニストたちの録音も聞いているが、当時はこのシェリング盤しか知らなかった。
でも、それでも私はこの曲の入門を徳永二男氏の演奏と、シェリングの演奏で果たしたことは良かったと思っている。
シェリングの演奏は立体的で優れているけれど、レオニード・コーガンが作曲者の指揮で録音したものなどを聞いてしまうと、ちょっと物足りなくなる。いわば色物的作品であるが、こうした作品を聞かせるにはシェリングは格式が高すぎるようにも、今となっては感じられる。
しかし、そうした聴き方ができるのも、このシェリング盤で曲の姿をしっかりと頭にたたき込んでもらったからだと思う次第であり、この演奏の価値が一頭低いものであるというのとは違うと思う。
アンタル・ドラティ指揮のロンドン交響楽団は、良く鳴らしているが、どこか醒めている。フィストラーリのベタベタの演奏はちょっとどうかと思うけれど、作曲者の指揮によるいくつかの演奏(中でもレオニード・コーガンの演奏は素晴らしい!!)を聞いた耳には、ちょっと物足りないところもある。
とは言え、久しぶりに聞いてみて、懐かしく思った次第である。

写真はジュネーヴのレマン湖畔のプロムナード。サンピエール寺院の塔がはるかに見えている…。
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by Schweizer_Musik | 2010-11-30 02:25 | CD試聴記
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