作曲者 : MAHLER, Gustav 1860-1911 オーストリア
曲名 : 交響曲 第4番 ト長調「大いなる喜びへの賛歌」(1899-1900/1901-10改訂) 演奏者 : フリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団, リザ・デラ・カーサ(sop) CD番号 : マーラー 交響曲第4番(ライナー)_BMG/BVCC-37450 これまた、久しぶりで聞いた一枚。この曲を私は中学生の頃この演奏ではじめて聞いた。そうたくさんレコードを持っていなかった頃で、マーラーはライナーの指揮でこれと大地の歌、そしてラインスドルフの指揮した「巨人」しか持っていなかった。 おかげでこれを隅々まで記憶しているほど聞いた…。 ハイティンクの演奏のように耽美的で柔軟な表現を聞いてしまうと、この演奏はちょっとシンフォニックに過ぎて、マーラーの「歌」の部分が器楽的に処理されすぎているようにも感じられる。 第2楽章の二度高く調弦されて移調楽器となったヴァイオリンの醸し出す絶妙な違和感は、まさに死神の音楽である。サン=サーンスの「死と舞踏」では半音低く調弦されて人間とは違うものを表現していたが、それはこの2曲で有名になりすぎて、今では使うことがちょっと恥ずかしく感じられる…。 第3楽章はまるでベートーヴェンの交響曲の緩徐楽章のように聞こえてしまう。それがこの演奏の美点であり欠点でもあるのだろう。 終楽章のデ・ラ・カーサの歌は美しいものだが、エリー・アメリンクの天使が歌っているような歌を聞いた後では、少し気の毒…。好きだったのはルチア・ポップが歌ったクラウス・テンシュテット盤だが…、やはりあれも少し響きが低く、天上の歌とは言いにくいところもあった。まぁ、バーンスタインのグラモフォン盤のようにボーイ・ソプラノを器用するというのは危険球に近いもので、私はそこまでする必要はないと思う。 それでも、マーラーがまだ一般的に受容されていたとは言えなかった時代に、ライナーがこの曲と「大地の歌」をレパートリーにしていたとは驚きではある。 今ではこのような様式の演奏は逆に珍しく、かえって新鮮に聞こえるところもないとは言えない。私は懐かしく、また自分もずいぶん感じ方が変わったものだと感慨を持ちながら聞いた。 この復刻はとてもよくて、昔、安物のプレーヤーで繰り返し聞いていた時代には聞こえていなかった音も色々と聞こえてきて楽しかった。 だが、やはり今となっては多くの人にお薦めする演奏ではなさそうだ。私のようにライナー好きがニタニタしながら聞くのが良いのだろう…(笑)。 写真はバーゼル音楽院の前のテラス。有名な楽器博物館はこの中にある。
by Schweizer_Musik
| 2011-02-06 08:11
| CD試聴記
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