ブロムダールの交響曲第3番をエールリンクの名演で聞く
作曲者 : BLOMDAHL, Karl-Birger 1916-1968 スウェーデン
曲名  : 交響曲 第3番「切子面」(1950)
演奏者 : シクステン・エールリンク指揮ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
CD番号 : Swedish Society/SCD 1037



日本にも戦後、いくつかの現代音楽のグループがあった。武満 徹氏らが参加していた実験工房が有名だが、スウェーデンの「月曜グループ」もそうした現代音楽のグループで、このブロムダールの他リドホルムやベックも参加していた。
私はあまりこういう作曲家が群れるのは好まないので、参加はしていないが、今でもやたらとなんとか評議会とか名前がついてあちこちにある。
そのことについては以前も書いたので、この辺でやめておくが、ブロムダールもそうしたグループに参加し、ヒンデミットなどを研究する中から戦後のヨーロッパで地位を築いていった。
この作品は、彼の出世作となったもので、エールリンクがさかんに演奏していたそうで、録音も2種類残されている。1958年録音のこれは最初の録音で、1980年にストックホルム・フィルハーモニーを振って二度目の録音を残している。(CAPRICE/CAP 21365)
12音をベースとしているということだが、かなり自由に12音を扱っていて、ちょっと聞くとそうとは気がつかないほどである。多分彼の最も人気のある作品である本作は、その華麗なオーケストレーション故ではないだろうか。
5つの部分からなるが、作品は続けて演奏され、リズミックで、「春の祭典」のようなパワーに満ちている。無論「春の祭典」の二番煎じではないけれど、遠く影響が感じられる。
調性感は極めて希薄なのは12音をベースにしているのだから当然と言えば当然なのだが、音の繰り返し、フレーズの繰り返しは盛大に行われるので、全くの無調ではない。むしろ調性感を拒否しないことで、新たな世界を作りだしている。
12音も点描的なウェーベルンから繋がるトータル・セリエルへの流れとはまた別に、フランク・マルタンやこのブロムダールの様な大らかに新しい世界を切りひらいていく潮流とに分かれて存在している。セリエルの楽派を単純に分類できない所以でもある。
しかし、この作品の面白さはどうだろう!「春の祭典」が好きだと言う人ならきっと喜んで聞かれることと思うが…。

写真はヴィンタートゥーアの旧市街。ちょっとアラビアンナイトの世界みたいで、面白くて撮った一枚。このアーケード?を抜けると旧市街を囲む周回道路の大きな美術館の前に出る…。
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by Schweizer_Musik | 2011-03-23 16:27 | CD試聴記
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