クロンマーのパルティータ ハ長調をザビーネ・マイヤー管楽アンサンブルの演奏で聞く
作曲者 : KROMMER, Franz 1759-1831 モラヴィア→オーストリア
曲名  : 木管八重奏のためのパルティータ ハ長調 Op.76 (1809)
演奏者 : ザビーネ・マイヤー管楽アンサンブル【ディートヘルム・ヨーナス(ob), トーマス・インデアミューレ(ob), ザビーネ・マイヤー(cl), ライナー・ヴェーレ(cl), ブルーノ・シュナイダー(hr), クラウス・フリッシュ(hr), ゲオルグ・クルッチュ(fg), セルジオ・アッツォリーニ(fg), クラウス・ローラー(c-fg)】
CD番号 : EMI/TOCE-7784



フルートを外した、古典派の時代に書かれた管楽合奏のためのパルティータ。フランツ・クロンマー(モラヴィア語ではフランティシェック・ヴィンツェンツ・クラマーシュ)はウィーンのブルグ劇場の楽長、皇室専属作曲家の称号まで得ていた、ウィーンで活躍した作曲家である。もともとはモラヴィアのチェスカー・カメニツェというところに生まれた作曲家である。
現在のチェコの東部に位置するモラヴィアは、ボヘミアとは異なる土地であり、レオシュ・ヤナーチェクの出身地でもある。10世紀頃までは王国であったが、内部崩壊の末、ハンガリーなどの支配を受けるようになり、ハンガリーがハプスブルクの支配下に入ると同時に、モラヴィアもオーストリアの支配を受けるようになった。
フランツ・クロンマーがウィーンに出た頃はまさしくハプスブルクの支配下にあった時代であるが、フランツ・クロンマーがモラヴィア的な作曲家だとか私は言うつもりは無論ない(当たり前だ…)。
この地を出て、ウィーンで成功をおさめたフランツ・クロンマーが多数の作品を残したにもかかわらず、今日、モーツァルト、ベートーベン、ハイドン、シューベルトといった巨星の影に隠れて、あまり聞かれないのは、惜しいことである。クロンマーの音楽がベートーベンより優れているなどというつもりはないけれど、そうした優劣で語りきれない何かがここにはあるのだ。
管楽器八本によるこの音楽は、ウィーンでも人気が出てきた1809年に書かれている。膨大な作品を残したクロンマーだけに、この作品で彼の生涯を代表させては、ちと気の毒ではあるが、一度聞くとその伸びやかなメロディーに、当時のウィーン子たちが楽しんだ世界を、21世紀に生きる私たちも楽しめるのだ。
ザビーネ・マイヤー管楽アンサンブルの演奏はさすがにすばらしい。完璧な演奏というだけでなく、音色の美しさ、アンサンブルの精緻さ、そしてなによりも積極的でありながら羽目をはずすことのないノープルな味わいに彼らの教養の高さとセンスの良さを感じさせるのである。
今では手に入れにくいようであるが、中古などでは時折見かけるので、見かけたらお買いになることをお薦めしておきたい。(こちらにもある…会員になればダウンロードできる)

写真は、リギ山。登山鉄道の途中で出会う風景で、何度も行っているので、ここを何度も撮っているけれど、なかなか上手くとれない…(笑)…腕のせいだけれど…(泣)中からハイジやオンジ、あるいはペーターが出てきそうな気がする。
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by Schweizer_Musik | 2011-04-25 07:08 | CD試聴記
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