マニャールの交響曲第3番をプラッソンの演奏で聞く
作曲者 : MAGNARD, Albéric 1865-1914 仏
曲名  : 交響曲 第3番「牧歌的 "bucolique"」変ロ短調 (1896)
演奏者 : ミシェル・プラッソン指揮 トゥールーズ・カピトール管弦楽団, クリスティアン・フージルー(ob)
CD番号 : EMI/50999 906820 2 5



この曲は以前、アンセルメのライブ録音をとりあげているので2回目になる。(こちら)だが、あまり曲のことを書かなかった記憶があるので、ちょっと曲についても書いてみよう。

この作品は、マニャールが結婚した頃の曲であるが、曲にも各楽章にはもタイトルがつけられていて、交響曲の標題には"bucolique"は「牧歌的、あるいは「田園」という意味の言葉がつけられている。
各楽章のタイトルは次の通り。

第1楽章 導入と序曲 "Introduction et ouverture"
第2楽章 舞曲 "Dances"
第3楽章 牧歌 "Pastorale"
第4楽章 終曲 "Final"

まあ、イメージを膨らませるものというよりも、曲の形式を言っているに過ぎないので、表題音楽とは違う。
第1楽章はイントロダクションがコラール風で、このあたりが「フランスのブルックナー」と呼ばれる所以であろうが、全曲が40分ほどで、ブルックナーほど長くない。
ダンディの弟子であり、故にフランクの系統に属しているので、コラールの使用もフランク的と言うべきだろう。
第2楽章は変ロ長調で書かれていて、ちょっと意外に感じる。
舞曲とタイトルが付いているが、一種のスケルツォとも言えそうだ。ミュゼット風の弦のソロが挿入されて、曲調に変化をもたらしているし、全体の軽快さと明るさはとても印象的である。
トリオにあたる部分ではぐっとテンポをおとし、クラリネットやオーボエのソロが美しいメロディーを聞かせる。なるほど牧歌的である。ちなみにこのトリオのメロディーは第1楽章の導入のコラールを変奏して作られているし、急速な舞曲も導入の主題の音の並びを使っていて、入念な主題設定の跡がうかがわれる。
第3楽章はオーボエの長いソロからはじまる。パストラールとつけられたタイトルは、羊飼いの笛の長いソロで始まるが、これが古い教会旋法風で、ちょっと時代を感じさせられる。ちなみに彼はダンディの指導のもとで書き上げた交響曲第2番で教会旋法を取り入れている。
彼の曲を聞いていると、ドビュッシーやラヴェルと同じ時期にパリで活躍したとは思えないほど古風な印象をうけるのであるが、こうして聞くとやはり時代の人だったのだと思う。
終楽章はどこかアンニュイな活発さがユニークだ。ただ発散するだけの音楽ではなく、内に向かっていく思いの丈は何なのだろうと思う。ひょっとして、彼が晩年苦しめられたという難聴の兆しがすでにあったのだろうか?などと想像している。
葬式の時に演奏されるトロンボーンのソロが頻繁に出て来て、哀調を感じさせるあたりにもそれがありそうだ。

プラッソンはアンセルメの演奏や、トーマス・ザンデルリンクなどの演奏とともに、こうした作品の核心をついた名演である。

写真はミューレンの朝の散歩の時の風景…。ああまた行きたいなぁ…。
マニャールの交響曲第3番をプラッソンの演奏で聞く_c0042908_7121294.jpg

by schweizer_musik | 2011-07-17 07:12 | CD試聴記
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