ハイドンの交響曲第96番をワルターの往年の名演で聞く
作曲者 : HAYDN, Franz Joseph 1732-1809 オーストリア
曲名  : 交響曲 第96番 ニ長調「奇蹟」Hob.I-96 (1791)
演奏者 : ブルーノ・ワルター指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
CD番号 : EMI/TOCE-7761-74



ブルーノ・ワルターのウィーン・フィルハーモニー管弦楽団時代の録音であるが、同じくハイドンの「軍隊」やモーツァルトの「アイネ・クライネ…」あるいはベートーヴェンの「田園」あたりの取り上げられ方に比べると、この作品は今ひとつ話題にならないのは、曲が地味ということもあるのかも知れない。
太鼓が活躍したら、人を驚かせたりといった、お得意のジョークがこの曲にはないからなのか?その理由は定かではないが、この作品もまた名作であることには変わりなく、更にブルーノ・ワルターとウィーン・フィルによる、実に良い感じのアバウトさが、この音楽をとても伸び伸びとした世界に飛翔させていて、魅力的なのである。
こうした演奏は、もう今日では完全に滅びてしまった。あそこが合っていないとか指摘するのは簡単だ。だが、この演奏のフレーズ感、楽に呼吸をしながら、ハイドンの各声部の出し入れが自然体で行われている姿は、まさに神業なのだけれど…。
第2楽章なんて、何もしていないようでいながら、オケと指揮者は全ての声部に反応し、歌い、そして表現している。これぞ音楽である。鋭敏な耳は、鋭敏に反応するだけではないのだ。少しくらいずれていても、それが音楽的であれば、そちらが正しい…。
今日、こんな演奏を聞くことは完全になくなってしまった。
CDでこれが聞けるだけでもありがたいと思わなくてはならないのかも知れない。第2楽章のヴァイオリン・ソロはオドノポソフの演奏のような気がするのだけれど、気のせい?

写真はソーリオの村。何度も掲載しているシオーラの山々、名山ピッツ・パディーレなどが屋根の上からのぞいている。ここにブルーノ・ワルターは来たのだろうか?サンモリッツ、シルス・マリアに何度も来ているそうなので、来ているかも…。この風景をどう見たのだろうか?
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by schweizer_musik | 2011-08-14 06:49 | CD試聴記
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