モーツァルトのピアノ協奏曲第27番をヘブラーとガリエラの演奏で聞く
作曲者 : MOZART, Wolfgang Amadeus 1756-1791 オーストリア
曲名  : ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595 (1791)
演奏者 : イングリット・ヘブラー(pf), アルチェオ・ガリエラ指揮 ロンドン交響楽団
CD番号 : PHILIPS(新星堂)/DMP-5



CDが売れた時代は、CDショップもお金があったのか、こうした企画物がずいぶん出ていた。今はタワー・レコードくらいのものになったが、もう20年ほど前、福岡に住んでいた頃に買ったセットである。
イングリット・ヘブラーは実はあまり好きでないのだけれど、ガリエラ贔屓の私としては、彼のモーツァルトをまとめて聞ける貴重なセットとなっている。
イングリット・ヘブラーは、天真爛漫さと正反対の几帳面な演奏で、それほど面白くない。というより、つまらない。でもそれにピタリとつけて音楽を弛緩させず豊かに広げているのはガリエラの手腕故である。
ヘブラーは決して下手ではない。何と言ってもジュネーヴ国際コンクールで二回続けて2位に入り、ミュンヘンのコンクールでは優勝しているのだから、凡手などと言ったら怒られる。でもどうしてこんなに慎重に弾くのだろう。もっと表現に積極的でも良いのに…。ガリエラの指揮のうまさが際立つ一方で、何とも言えないもどかしさを感じているのである。
ロヴィツキとの「戴冠式」なんて本当につまらなくて、なんでこんなになってしまうのと言いたくなった。実は「戴冠式」は旧盤があり、そちらではガリエラが指揮していた。あれは奔放とまでは行かないまでも、実に溌剌としていて気持ちの良い「戴冠式」だった。ただ復刻されていないようだ。ロヴィツキとの新盤があるから致し方ないのだろう。(ひょっとして私が知らないだけかも知れないが…)
少し遅めのイン・テンポで、オケが遅すぎると思われるところで、ちょっとだけ前に行ってバランスをとっていて、これがまた上手いのである。
ガリエラという人は、日本ではあまり評価されず、「協奏曲の伴奏指揮者」と言われたりしていた。協奏曲などの合わせ物をきちんと振れる指揮者は本物のプロフェッショナルだと私は思うのだけれど、違っているだろうか?
彼の「新世界」やボロディンの交響曲なんて良かったなぁ。ちょっと懐古趣味に走っている…(笑)。

写真は、ブルジオのオープン・ループの写真をもう一枚。
モーツァルトのピアノ協奏曲第27番をヘブラーとガリエラの演奏で聞く_c0042908_20591468.jpg

by schweizer_musik | 2011-08-14 20:59 | CD試聴記
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