モーツァルトのピアノ協奏曲第25番をコヴァセヴィッチの演奏で聞く
作曲者 : MOZART, Wolfgang Amadeus 1756-1791 オーストリア
曲名  : ピアノ協奏曲 第25番 ハ長調 K.503 (1786)
演奏者 : スティーヴン・コヴァセヴィッチ(pf), ミヒャエル・ギーレン指揮 南西ドイツ放送交響楽団(バーデン=バーデン)
CD番号 : INT 860.904



なんて良い演奏なのだろう。大阪のCD棚で見つけて、今鎌倉の自宅でこれを聞いている。大阪でも聞いて良いなと思って持ち帰ったのだけれど、はて、このCD、買ったのは20年以上も前でありながら、聞いた記憶が全くないのだ。買ってそのままになっていたのだろうと思うが、私の場合、ちょくちょくそれがある…(笑)。
オケだの提示部、ギーレンの指揮するバーデンの放送オーケストラは実に充実した良い演奏で、次いで入ってくるコヴァセヴィッチのピアノの冴え渡った演奏は見事としか言いようがない。
一聴して彼のピアノだという独特の深い味わいの音色が耳をとらえる。オケに絡むところでは美しいレガートのスケールが美しいけれど、ちょっとバランスがうまくとれてなかったりするのは実に惜しい。それでも、全体としての感銘の深さには全く影響せず、見事な演奏だと印象づける。いや彼は巨匠中の巨匠である。
なんて良い演奏なのだろう。ギーレンの切れ味の鋭さを感じるアンサンブルは、コヴァセヴィッチのふくよかな独特のタッチと対比し、見事な協奏を聞かせる。
曲が25番というのも良い。この壮大で、「ジュピター」の反映がどこかから聞こえてくるかのようにスケールの大きな協奏曲は、コヴァセヴィッチのようなピアニストにこそ相応しい。この曲は弾き手を選ぶのだ。
ギーレンがデリケートに歌っていたら、この音楽は弛緩し、平板なものに成り下がっていたことだろう。この出会いの意味はここにあると思う。と言っても、ギーレンの指揮するオーケストラがデリカシーに欠けるなどということはなく、充実した響きを奏でている。彼が現代音楽のスペシャリストだからと言って、モーツァルトが「ゲンダイオンガク」になっているわけがない(笑)。
コヴァセヴィッチのまもなく日本ツァーが始まるのだけれど、チケットがとれず…、いや残念!

写真は早春のクールの町の風景から…。この季節のクールはとても気持ちの良い季候で良かったなぁ…。
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by Schweizer_Musik | 2011-08-16 21:16 | CD試聴記
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