バーンスタインの交響曲 第2番「不安の時代」を聞く
作曲者 : BERNSTEIN, Leonard 1918-1990 米
曲名  : 交響曲 第2番「不安の時代」(1948-49)
演奏者 : レナード・バーンスタイン指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック, フィリップ・アントルモン(pf)
CD番号 : SONY-Classics/88697683652



ピアノ独奏が重要な役割を果たすので、一種のピアノ協奏曲と呼べなくもないが、それほどピアノ独奏とオーケストラが競合する場面はなく、1つのパートとして書かれているので、やはりあくまで交響曲なのであろう。しかし、優秀なピアニストが一人かならず必要となる曲でもある。実はアップライトのピアノも必要で、こちらはオーケストラのパートとして書かれているがオケの中に置かれているので都合二台ピアノが必要となることになる。それも普段コンサートで使わないアップライトも…。
W・H・オーデンが1947年に発表した長編詩に触発されて書かれ、2つの区分、更にこまかく6つの部分に分かれ6つの部分にオーデンの詩の各章のタイトルが付されている。
第二次世界大戦末期のニューヨークに暮らす四人の人間の孤独を描いたものだというが、私はオーデンの詩は読んでいないので、そうエラソーなことを書けるわけではない。が、シリアスなスタイルを守りながらもコープランドの弟子らしく、明晰でわかりやすい作風で、この才人の最良の遺産の1つとなっている。
アメリカの彼は良心でもあったと思う。シアター・ピースとして書かれたミサとともに、私はこの作品の持つとてつもない緊張感は素晴らしいと思っている。スコアもどこかにあったはずだ。
バーンスタインは名指揮者でもあり、ピアニストでもあった。初演はクーセヴィツキーの指揮するボストン交響楽団で、バーンスタイン自身がピアノを弾いて行われたらしいが、このピアノが詩の中で描かれる四人のそれぞれの心を描き、オーケストラはそれをとりまく世界を表していると考えたらいいのだろう。(私の勝手な解釈ですので、信用されないようにお願いします)
第5楽章の「仮面舞踏会」で、ヘミオラを使いながらもブルーノート風の音のつながりが出て来て、ふとニヤリとするが、後は深刻でどうしようもない閉塞感に満ちた、厳しい音楽だ。フィリップ・アントルモンのピアノは完璧だと思う。またバーンスタインの指揮の生き生きとしたリズムと漸進性は、この音楽の深刻な響きを、押し寄せる感情の波に埋没させず、聞く者に集中力と緊張感を持続させるのに役立っている。
晩年の映像などもあるが、やはり私にはこのニューヨーク・フィル時代に残した録音に勝るものはないと思われる。昔、購入して持っていたCDは2つしかトラックが切って無くて、ちょっと不便だったが、大部のバーンスタイン・シンフォニー・エディションを購入し、新しくなったCDは各部にトラックが切ってあって、聞きやすくなっていた。録音もとても良いし、最後のエピローグでフィリップ・アントルモンのピアノに木霊のようにもう一台のアップライト・ピアノがかすかに絡むあたりは実に美しい。
有名な反戦運動の旗手でもあったバーンスタインらしい傑作、近代音楽ファンならぜひ一度聞いてみてほしいと思う。

写真はバーゼルの大聖堂。
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by Schweizer_Musik | 2011-08-18 08:30 | CD試聴記
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