メンデルスゾーンのチェロ・ソナタ第2番をフロレスタン・トリオの二人の演奏で聞く
作曲者 : MENDELSSOHN-BARTHOLDY, Felix 1809-1847 独
曲名  : チェロ・ソナタ 第2番 ニ長調 Op.58 (1843)
演奏者 : リチャード・レスター(vc), スーザン・トームス(pf)
CD番号 : hyperion/CDA66478



この曲は、チェロ・ソナタの中でも傑作の1つだろう。だから多くの録音があるし、名演も多い。古くはエマヌエル・フォイアマンとルップの録音があったし、ピアティゴルスキー、シュタルケル、グートマン、クリーゲル、イッサーリスとふっと思い出しただけでこの程度の録音は思い出すことができる。
リチャード・レスターはフロレスタン・トリオのメンバーで、ピアノのスーザン・トームスも同様で、緊密なアンサンブルをここでは聞くことができる。メンデルスゾーン後期の充実した作品であるが、後期とは言っても34才の時の作品であり、沸き立つような情熱が、溌剌とした楽想が聞ける。私のこの曲の1つの理想像はフォイアマンの古い録音なのだけれど、これはあまりに一般的ではない。その点でこのフロレスタン・トリオの二人による録音はとてもバランスがよくて、私のお気に入りである。
チャーミングな第2楽章など、入りのピツィカートが小さすぎるかなと思う一瞬があるが、逆にこの位の方が面白いとすぐに思わせるだけの説得力がある。それは瞬間瞬間で彼らが相手の出す音に反応し、反応が音になってまた新たに反応するという、お互いにインスパイアし合いながら、音楽を進めて行っているからに他ならない。
レスターはゆったりとしたテンポを選びつつ、スケルツァンドというよりもファンタジックな楽章としている。ゆったりとした余裕のあるテンポでよく歌うというのがこのレスターとトームスの二人の演奏のコンセプトのようだ。第3楽章のAdagioは少し音楽への踏み込みが浅いと思う部分もあるが、やはり説得力がある。ただ、ピアノの長い前奏が弛緩してしまうのは残念だ。チェロが入ってくると焦点がピタリと合ってくるのだけれど…。
フロレスタン・トリオは私はスメタナとマルティヌー、エベンのトリオを録音したものくらいしか持っていない。全くロクに聞いてこなかったけれど、なかなか良いトリオのようだ。これからはちょっと気をつけなくてはと思い調べてみたら、来年の2012年、ロンドンのウィグモア・ホールでのベートーヴェンのトリオの演奏会で活動を終えるそうだ。なんと!!
それぞれが活動を続けるとのことなので、なるほどと彼らのHPを見て思った。(フロレスタン・トリオのHPはこちら)

写真はヴィンタートゥーアの楽器屋。チェロではなくギターのセール中だった…(笑)。
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by Schweizer_Musik | 2011-08-24 11:48 | CD試聴記
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