作曲者 : PROKOFIEV, Sergei 1891-1953 露
曲名 : ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 Op.19 (1916-17) 演奏者 : スティーヴン・スターリク(vn), 秋山和慶指揮 バンクーバー交響楽団 CD番号 : CBC/PSCD2023 この曲をこのブログでとりあげるのはもう4回目である。鄭京和の演奏について書いたのは2009年12月の記事だった。次いで同じ月に若き日のヨーゼフ・シゲティの演奏を(こちら)とりあげた。更に今年になってオドノポソフの演奏(こちらをとりあげ、一ヶ月後にフリードマンの演奏をとりあげたのだった。(こちら) 度々で申し訳ないが、好きなのだから仕方がない。青年プロコフィエフの伸びやかなメロディーが何とも気持ちが良い。強烈な転調などはその萌芽が聞かれるものの、驚かせるほどのものではなく、心地よいアクセントとなっている。鄭京和やパイネマンといった女流ヴァイオリニスト(この人たちにこうした「くくり」は不要ではないかとも思うが)やリッチ、オドノポソフ、シゲティの二つの録音など、この曲には名演が多い。やはりヴァイオリニストたちにも愛されている名作なのである。 このスターリクは、名盤、フィストラーリの指揮した「白鳥の湖」でソロを弾いていたヴァイオリニストである。あのソロは誰かとよく聞かれたものであるが、このソリストがそうである。指揮が秋山和慶。彼がバンクーバー交響楽団の音楽監督だったかをしていた頃、1973年の録音だという。さすがに秋山和慶の指揮は手堅くまとめてあって、素晴らしいものだ。スターリクのヴァイオリンはこの頃が1番良かったのではないか。新しいものもいくつか聞いているが、やはり1960年代から70年代に全盛期を迎えていたのではと思う。 第1楽章の第1主題が戻って来て、ヴァイオリンの高音域でのオブリガートが付されるところ、事もなげに美しい音程と音色で歌いあげるあたり、やはりただ者ではない。 第2楽章のスケルツォはもっとアクセントを効かせて濃い味付けの演奏も無くはないが、ここではあまり無理をせず、やや平板な感じになっている。例えばsul ponticelloのspiccatoでのテーマの変奏では、もっと強烈な表現も可能だったはずだが、彼は品位を優先する。これは良い悪いの水準ではなく、好き嫌いの問題だろう。彼の安定したボウイングは心地よい。 終楽章の何とも言えないエキゾチックな始まりは、一度聞いたら忘れられない。スターリクの美音がここでは最大限に生きてくる。ああ、どうしてグリュミオーはこの曲を録音しなかったのだろう…。私が知らないだけ? 写真は更にしつこくブルージオのオープン・ループ(笑)。
by Schweizer_Musik
| 2011-08-26 17:56
| CD試聴記
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