モーツァルトのハフナー・セレナードをミュンヒンガー指揮VPOで聞く
作曲者 : MOZART, Wolfgang Amadeus 1756-1791 オーストリア
曲名  : セレナード ニ長調「ハフナー」K.250(248b) (1776)
演奏者 : カール・ミュンヒンガー指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団, ウィリー・ボスコフスキー(vn)
CD番号 : DECCA/UCCD-9205



先日、大阪で、デ・ワールト指揮ドレスデン・シュターツカペレ、ウト・ウーギがソロをつとめた録音と、コレギウム・アウレウム合奏団の録音を散々堪能して来たというのに、今度はカール・ミュンヒンガー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で聞いて、またまた魅了されてしまった。
ここにはウィーン・フィルの魅力が一杯詰まっている。それもよき時代の響きがまだここには生きているように思われる。これはもう楽器が違うのだと言ってすませるに限る。こんなに艶やかな演奏で聞かされると、この前のワールトの演奏も霞んでしまいそうだ。
ミュンヒンガーが偉いのか、ウィーン・フィルが偉いのか知らないが、この演奏は実にクレバーな演奏である。第1楽章の冒頭、速いテンポで颯爽とやってしまうと、主部に入った時の対比が薄まってしまうのだが、ここではあえてゆったりと冒頭のAllegro maestosoをModeratoくらいでやって、主部のAllegro moltoと大きな落差をつけて鮮やかな変化を感じさせている。ここまで思い切ったテンポ設定は結構勇気がいったと思うが、結果は素晴らしいものとなっている。
万事ゆったりとしているわけではなく、有名な第4楽章のロンドなどは、速めのテンポで諧謔的な味わいというか、無窮動な可笑しさを感じさせてくれる。ボスコフスキーのソロも実に美しい。
この演奏は実は今日まで聞いて来なかった。いや、もったいないことをした。こんな良い演奏だとは!!
更にフィル・アップされているのはハイドンの「軍隊」。これは昔から美演として有名だがまさしく超美演である。LP時代から愛聴して来たもので「奇跡」「時計」や「ロンドン」「V字」などの名演が残されている。
これらの復刻はどうなっているのだろう。私は「時計」と「V字」は持っているけれど、他はようやくこのハフナーについてきた「軍隊」のみという状態である。彼はどうしてこんなに評価されないのだろう?よくわからない。私は良いと思うのだけれど…。

写真はイタリアのティラノの教会の広場を横切るベルニナ線。こんな広場の路面に何両もの車両が人とともに通り過ぎるのは、絶対に日本ではあり得ない光景であろう。だから私などはここを通る時はいつもドキドキしてしまう(笑)。
この広場の次は、江ノ電のように家々の軒先の狭い場所を通り向けていくのであるが、これまたこんな編成の列車が行くところとは到底思えないものだからまたドキドキする。そしてしばらく行くと、オープン・ループがあり、更に険しい山間へと入り、氷河を望む高地へと達するのだから、もう驚きと感動の連続となるのである。何度乗っても、同じように感動する。まるでモーツァルトのハフナー・セレナードみたい…。こじつけがちょっと酷すぎますね。失礼しました。
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by Schweizer_Musik | 2011-08-27 00:57 | CD試聴記
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