フィンジの「花輪をささげよう」をベイカーの歌で聞く
フィンジの「花輪をささげよう」をベイカーの歌で聞く_c0042908_23162374.jpg作曲者 : FINZI, Gerald 1901-1956 英
曲名  : 花輪をささげよう Op.18 (シェークスピア詩)
演奏者 : ジャネット・ベイカー(m-sop), ジェフリー・パーソンズ(pf)
CD番号 : BBC-Legends/BBCL4117-2



以前、ターフェルの歌でこの曲をとりあげた(こちら)けれど、これはベイカーが歌っている。ライブなので、特有のノイズもあるし、多少の傷はある。1曲目ではまだ調子が出ておらず、次第に焦点が合っていくところなど、やはりライブらしいものだ。
各曲については、以前の記事に簡単な紹介を書いておいたので、今回は演奏の感想のみにしたい。
しかし、なんて良い曲なのだろう。英語は、歌曲にはちょっと向いていない言語ではないかなどと思っていたけれど、優れた作曲家の手によれば、これほどまで深い感動を表現できるのだと思った。
1929年に書かれた第3曲 もう太陽の熱を恐れるな "Fear no more the heat o the sun"など、実にスケールの大きな作品で、ベイカーの歌もパーソンズのピアノもとても良い。熱演などというのは紳士の国イギリスではあり得ない。淡々としながら深く広い世界へと向かっていくのである。
1940年に書かれた5曲目の「恋する男とその恋人が "It was a lover and his lass"」なども良い歌唱だと思うが、ちょっと喜劇の大演団に歌われるものとしては、ちょっとゆったりとしすぎている気がしないでもない。
フィンジは生涯を音楽界の中心のロンドンではなく、バークシャー近郊で生涯を送り、大きな成功とは無縁の概ね静かな生活を送った。生涯の半分はリンゴの品種の蒐集と改良に捧げられていて、イギリスの詩や哲学・文学の貴重な書籍を蒐集も有名だったそうだ。(こうしたことはWikiにあるので、興味のある方は参照していただきたい)

写真はラッパーツヴィルの町の中心の広場。
フィンジの「花輪をささげよう」をベイカーの歌で聞く_c0042908_2341349.jpg

by Schweizer_Musik | 2011-11-28 23:41 | CD試聴記
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