グリンカの悲愴三重奏曲を聞く
グリンカの悲愴三重奏曲を聞く_c0042908_1611797.jpg作曲者 : GLINKA, Mikhail Ivanovich 1804-1857 露
曲名  : 悲愴三重奏曲 ニ短調 (1832)
演奏者 : レオポルド・ウラッハ(cl), カール・エールベルガー(fg), パウル・バドゥラ=スコダ(pf)
CD番号 : Westminster/UCCW-1030



グリンカの大六重奏曲を以前とりあげた(こちら)けれど、どちらかと言えばこちらの「悲劇三重奏曲 "Trio Pathetique"」の方が有名かなと思う。
ロシアの近代音楽の祖とも言うべきグリンカは、後の五人組のようなロシア的なものに依拠して書くというよりも、もっと汎ヨーロッパ的な語法のもとで作曲していたと思う。
もちろん、彼はロシア民謡などの民衆の音楽に興味を抱いた最初の頃の作曲家であり、その面ではパイオニアではあったが、国民楽派の音楽よりもずっとユニバーサル・デザインである。ひょっとしたら、ショパンなどにずっと近い音楽家だったと思うのだが、見当外れだろうか?
旅好きだったそうで、その土地の音楽を素材に用いて作ったりもしている。「ホタ・アラゴネーサ」なんて曲がそれにあたるが、この作品は、ロシア的な憂鬱は感じられなくはないが、それ以上にベートーヴェンやシューベルトに近いロマン派の作品というのが正しいと思う。
木管とピアノのトリオという珍しい編成もあって、この曲は意外とよく取り上げられているようだ。
それにしても、レオポルド・ウラッハやカール・エールベルガーというウィーン・フィルの面々とパウル・バドゥラ=スコダのピアノの組み合わせでこの曲というのもなかなか良い企画だと思う。
曲の性格をよくとらえた選曲に私は思うし、それにこの三人はとてもよく応えている。

写真はルガーノ湖畔を走るスイス国鉄の貨物列車を、サン・サルヴァトーレ山の山頂から撮った一枚。この山の側面は結構な傾斜なので、こういう航空写真のような写真が撮れるのであるが、ちょっと面白いでしょ?
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by Schweizer_Musik | 2011-12-12 16:26 | CD試聴記
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