ヨハンセンの「ヌーランの風景」をアンスネスの演奏で聞く
ヨハンセンの「ヌーランの風景」をアンスネスの演奏で聞く_c0042908_22542576.jpg作曲者 : JOHANSEN, David Monrad 1888-1974 ノルウェー
曲名  : 組曲 第1番「ヌーランの風景」Op.5 (1918)
演奏者 : レイフ・オヴェ・アンスネス(pf)
CD番号 : EMI/TOCE-9692



長い長い冬の夜というタイトルを持つCDで、いかにも今の季節にこそピッタリの一枚ではないだろうか?
長生きだった作曲家ヨハンセンが、まだ若かった30才の頃の曲で、フランスの印象派、特にドビュッシーの前奏曲あたりの影響が透けて聞こえてくる。
私も大学時代、こんな影響を濃厚に受けつつ、音楽を書いていたっけ…(笑)。

ところでこのヨハンセンという人は、その後ストラヴィンスキーなどの影響からか、新古典主義へと進み、民謡などを取り入れたスタイルで書いていたようで、調性は最後まで捨てなかった作曲家であった。
1930年代終わりから大戦中は親ドイツ派として知られ、戦後しばらくは不遇の時代を過ごしているようだ。
その頃の作品としては交響作品である「パン」Op.22(1939)をCDで持っているが、大変優れた作品で、モード技法を扱いながら、古典的な枠組みの中できりりとした様式を確立していた。
戦後、1955年に書かれたピアノ協奏曲では変ホ長調という調性を全面に押し出しながら、ややシニカルな味わいが出ていて、戦争に翻弄された彼の生き様がここに出ているようにさえ感じられる。
ちなみに息子のヨハン・クヴァンダールも作曲家である。

そうした彼の、まだ若かりし頃、色々なことに翻弄されず、ただひたすら好きな音楽を書いていた頃(多分…)のこの作品は、どこまでも幸せな響きに満ちている。
アンスネスの美しい演奏もお薦め。こんな音楽に包まれて、寒い夜を過ごすのは、本当に幸せになことだと思う…。

写真は雪のダヴォスの黄昏。この曲に合っているような気がして…。でもこの写真を撮った時は寒かったなぁ…。
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by Schweizer_Musik | 2012-01-24 23:38 | CD試聴記
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