間宮芳生の五つのフィンランド民謡を聞く
間宮芳生の五つのフィンランド民謡を聞く_c0042908_12593461.jpg作曲者 : MAMIYA, Michio (間宮芳生) 1929- 日本
曲名  : チェロとピアノのための「五つのフィンランド民謡」(1977)
演奏者 : エルッキ・ラウティオ(vc), 舘野 泉(pf)
CD番号 : KING/KICC-3607



1977年の作品である。フィンランドの民謡を素材として書かれたもので、そうした素材故に調性による作品となっている。ただ響きは間宮芳生氏の響きそのもので、彼の個性の刻印はいたるところで聞くことができる。
演奏技法もそう高度なものを使っていないので、楽譜を見る限り、ある程度の技量を備えていれば大丈夫という曲だと思う。
第1曲 馬(美しい白いたてがみの馬が馬車を曳いていく)、第2曲 泣きうた(結婚式の花嫁の母の涙を歌ったもの)、第3曲 家なきこじき(その内きっといいことがあるさ…)、第4曲 ミッキン・ペッコ(ミッキが持っているベッコという馬)、以上がスオミの古謡によるもので、最後の第5曲 ヨーイクはスカンディナビアの先住民族であるサーミ族の歌だそうだ。
古謡をデュオ作品にするにあたって、ただの伴奏付けなどでは済まないのは当然としても、こうした作品に仕立て上げるのはやはりそれなりの技術とアイデア、そしてセンスがなければお話にならないのは言うまでもない。間宮芳生氏ほどの才人だからこそ(私は彼と彼の音楽を日本のバルトークと学生に紹介している)できた作品だろう。
この演奏は1994年6月カザルス・ホールでの演奏会の録音である。エルッキ・ラウティオはフィンランドのチェロの巨匠。1965年から1995年までシベリウス・アカデミーのチェロの教授でもあったので、彼に師事した日本人も多いのではないだろうか?
1931年生まれだから、この演奏当時はもう63才だったはずだが、このエネルギッシュでデリケートな表現には驚くしかない。
病に倒れ、左手だけのピアニストとして復帰された舘野 泉氏がまだ両手で弾いていた時代の演奏である。さすがに合わせ物でも彼は素晴らしいものがある。ただ、時折楽譜とリズムが違っていて「ドキッ」とさせられる…。

写真は早朝のダヴォスの雪景色。
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by Schweizer_Musik | 2012-02-12 13:21 | CD試聴記
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