今日は、ちょっと色々やらなければならないことがあったので、それをしながら、60年代終わりから70年代にかけての日本の前衛音楽を中心に聞いて過ごした。
開拓者たらんとして、意気軒昂な若い作曲家達も、今ではその多くが音楽大学などで教える「エライサン」たちである。が、そうでない人もいた。 高橋悠治氏もそうだ。「オルフィカ」というコンピューターで全体のディティールを演算処理して作ったというふれこみの曲だが、私にはどの部分がコンピューターなのかわからない。 ちょうど1970年頃の話だ。大阪で万博があった年である。作品はその前年にアメリカで書かれている。コンピューターはそのアメリカのバッファローのニューヨーク州立大学のコンピューター・センターの電子計算機(なんて懐かしい言葉だ・・・)CDC 6400を使ったと作者自身が書いている。 「人類の進歩と調和」が大阪万博のテーマだった。現在の愛知万博とは随分違っているような気がするが、気のせいか? まさしく、未来に向かって真っ直ぐに進んでいくことが善であった時代のものだ。コンピューターを使っているなんていう言葉に、つい心が動いた時代である。音楽もそうだったのか? あの時代の前衛をそうした意味で簡単に総括するのは危険だろうが、しかし、時代を考えて聞くと、何だか難解そうな響きの向こうに透けて見えてくる(聞こえてくる)ものがある気がしてきた。 ケージが「禅」に影響を受け、八卦に凝ったあげくチャンス・オペレーションなる世界を作り出したが、それを笑う前に時代を見つめなくては正確な評価は見えてこない。 プリペアード・ピアノの不思議で幻想的なサウンドの作者もまた、20世紀の生んだとてつもない才能の一人なのだ。
by Schweizer_Musik
| 2005-06-11 20:45
| 原稿書きの合間に
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