序奏とアレグロ、主観的分析
ラヴェルの7人の奏者のための美しい作品「序奏とアレグロ」を主観的に分解してみます。分析とタイトルにつけましたが、本当にただ分解しただけです。悪しからず・・・。
序奏部は二つの部分に分かれ、その最初の部分にこの曲の素材が全て詰め込まれています。
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序奏のメロディーはまずフルートとクラリネットの三度の響きによって印象づけられます。そのメロディーは半音階を経て二度下がる形(転調)で、4度音程を基本としています。


c0042908_1753188.jpgこの音列はオクターブ関係を入れ替えていますが、それはわかりやすくするためで、他意はありません。テーマのはじまりの音をよく見て、それを音列化したものであることを、よく確認しておいて下さい。


c0042908_1815149.jpgこの音列を4度あげて続く弦による3オクターブ・ユニゾンのメロディーになっていますが、これぐらい変わると、最初の木管の音列を使ってのメロディーだとは気が付かないかも知れませんね。
これにハープの幻想的なアルペジオが絡んで一つのグループとなっていて、続いてこれが楽器を入れ替え、二度下に移調されて繰り返されます。二度下というのが、冒頭の三度のハモリを持つメロディーと同じだということに気が付いたことでしょう。

c0042908_1817429.jpgそのまま転調しただけの繰り返しは、最初の三度の響きはフルートとクラリネットからヴィオラとチェロに移され、3オクターブのユニゾンはフルート、クラリネット、そして第1ヴァイオリンに移って、音色の変化をつけています。
それに絡むハープは更にダイナミックになっていることも留意しておきましょう。
ここまでが4拍子でしたが、ここから3拍子になり、少しだけテンポが速くなります。序奏の後半に入ったわけです。
伸びやかなメロディーがチェロによって演奏されます。
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このメロディーは最初のテーマの音列から出来ています。ただ反行形なのでわかりにくいようです。
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この音列は最初の音列の3番目の音を外して3音の音列にしてから、それを反行形にするとこのメロディーの音列が得られます。その音列を次に示しておきます。
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続いてアレグロに入ります。アレグロはソナタ形式で出来ています。
第1テーマを次にあげておきましょう。
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テーマは3音の方の音列で出来ています。As-F-Esの三度下降と二度下降で出来ていて、その間に経過音を加えた形になっていることが、ご理解頂けると思います。
この3小節というちょっとイレギュラーな小節構造のメロディーが4度上の調に移調されると、メロディーは拡張され4小節の構造になっています。
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4度上では、ハープのソロからアンサンブルでの音楽になり、フルートが先行して続いてハープがユニゾンでメロディーを縁取っていきます。
一度カデンツで区切られてからもう一度繰り返され、続いて第2テーマが提示されます。
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この第2テーマは3音からなる音列の2度音程と4度音程を繰り返すことで出来ているのですが、こうしたテーマ間の関連は主題の背景を統一させるということで、作曲家の常套手段と言えましょう。
そしてこのメロディーのリズムだけが残り、アレグロの展開部がはじまります。
まず展開部第1群。
序奏の三度のメロディーが三拍子のまま弦に再現されると、まもなく冒頭のメロディーの後半(3オクターブのユニゾン)のメロディーがハープに出てきます。ここの仕掛けはなかなか巧妙です。
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この部分の最後に第2テーマの部分(リズム)がくっついていますが、これが次の部分へのつなぎとなります。
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これに続いて展開部の第2群が始まります。第2群はこの第2テーマの断片をテンポを少しあげて繰り返す「問いと答え」のような断片とハープのgグリッサンドの応酬から始まり、続いて第2テーマ全体をハープのダイナミックなソロで繰り返され、そしてまた断片の「問いと答え」を繰り返すというa-b-aで出来ています。
ハープのソロの部分をあげておきます。
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このハープのソロの後、断片による問いと答えは楽器編成を変えて第2群を終え、第3群へと進みます。
また第2テーマが今度はクラリネットで全体が演奏されるのですが、このメロディーが繰り返されるところでハープがさりげなく第1テーマをリズム的に拡大して寄り添うという美しさ!!
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これが、第2テーマがフルートとクラリネットに、そして第1主題の拡大がヴィオラに移され、そこにハープが絡んで次第に盛り上がり、ハープのカデンツァへとたどり着きます。
このハープのカデンツァを聞く度にラヴェルがハープを熟知していたことを痛感させられます。なんでフランスの作曲家ってこんなにハープの扱いが上手いのでしょう。私などは足下にも及びませんが、こういう素晴らしい書法を見る(聞く)度にため息が出てしまいます。
そしてハープの幻想的なハーモニクスが響く中、再現部へ。
型どおり再現されてコーダがついて終わりという次第です。ああ疲れた・・・。朝から考え事をこんなにするものではありませんね・・・。
構成を見誤るなどという恥ずかしいこともしてしまいましたが、一応これでこの曲はおしまいです。
by Schweizer_Musik | 2005-06-27 19:03 | 授業のための覚え書き
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