このオネゲルの出世作は、ヨーロッパでも人気の作品で、今も頻繁にとりあげられる作品ですが、残念ながら我が国ではあまり聞く機会の無い作品で在り続けています。私にとってもそうですが、聖書の物語によるものというだけでなく、言葉の壁が原因ではないでしょうか。また 1921年の初演時のバージョンである第一版の交響的詩篇は17人編成のオーケストラと語り手、合唱と歌い手のために作られたのですが、好評ゆえに更に多くの上演の機会をということで1923年には通常のオーケストラで演奏されるようにと第2版が作られています。
通常はこの第2版の方がとりあげられることが多く、初演の時に好評のわりには、特殊な編成に対して上演の困難さがあったものと思われます。 現在ではこの第一版の録音はデュトワ指揮で聞くことができますが、新しい録音は私は知りません。デュトワは当時まだベルン交響楽団の指揮者をしていた1971年にパリでこの録音を行ったのでした。アンサンブルにはピエール・ピエルロ(ob)、ポール・オンニュ(fg)、ジョルジュ・バルボトゥー(hrn)、ジャック・ルヴィエ(pf)といった名手が参加している上にフィリップ・カイヤール合唱団やエリック・タピー(ten)などの歌が素晴らしいものです。(ERATO) オラトリオ版ではアンセルメとボードが名盤とされていますが、アンセルメ版の歌の出来が著しく悪く、合唱・独唱共に、録音して残すレベルに達していません。オーケストラの出来、録音は最高なのですが・・・。この演奏とフォーレのレクイエムはアンセルメの声楽に対するセンスを疑うところまで酷いレベル。 しかし、ボードの録音はオーケストラ、独唱陣、合唱、語り(フランス語がわからないので、本当にこれがいいのかどうかはわからないが・・・)全てにおいて名盤と言ってよいのではないでしょうか。ただ、オーケストラがバランスが良すぎて、スコアの特徴が少し相殺されているように思います。アンセルメのはそうした不満はないのですが、あの歌では聞く気になりません・・・。なんで素人を使ったんだろう?(プロとはとても思えない!!)
by Schweizer_Musik
| 2005-06-30 12:46
| 原稿書きの合間に
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