牧神の午後への前奏曲 その2
第2部(第2テーマ提示部〜推移部)

第2部は中間部への移行部にあてられ、次のオーボエの新しいメロディーで始まります。ここでは、このメロディーを第2主題と呼びます。
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c0042908_5352564.jpgこのメロディーはまず、冒頭の第1主題の後半の部分からとられ、つづいて、第1主題の前半、フルートのメロディーに含まれる増4度の音程を、今度は半音階ではなく、短三度を繰り返して移動する後半とで成り立っています。
そしてこの第2主題が、前半と後半のそれぞれの部分を分けて発展(展開)した後、中間部に入ります。


第3部(展開部 - 前半)

ここからが展開部です。展開部は二つの部分に分かれていて、ドビュッシーの天才は、ここで更に魅力にあふれるテーマを用意して、曲のクライマックスを築いていきます。
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この展開部の魅力的なメロディーは、実は第2テーマの前半の音列からとられています。c0042908_6571056.jpg
この音列の2度 - 3度の動き、もしくは一つ間を置いて2度 - 4度の動きはそのまま展開部のメロディーの動きとなっていることがおわかりとなるでしょう。
このメロディーは、まず弦楽のシンコペーションのコードに伴われて、木管群によるユニゾンで提示されます。c0042908_659521.jpgそれまで、シンプルにソロでメロディーを提示していたのに対して、このユニゾンは大きな響きの上での変化をもたらします。音色の特色を奪い、色んな色合いを混ぜてしまうことで、特色をぼかしてしまっていると考えられます。
また、上にあげた展開部のメロディーの最後の2小節はメロディーは全音音階的になっていますが、第1主題の遠いエコーに聞こえてきます。こうした旋法上の変更によるテーマの変容がこの曲のもう一つの特徴となっています。
さて、この木管と弦による控えめなトゥッティは続いてメロディーを弦楽に、そして伴奏を木管に役割を入れ替えて繰り返されるのですが、この部分の見事なことと言ったら・・・。「どうやって思いついたの?」とドビュッシーに尋ねたい!!
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このメロディーに続いて第2テーマの最後のフレーズが弦楽に現れます。
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この後、この最後のフレーズが繰り返されて(展開されて)、展開部の後半に移ります。


第4部(展開部後半)
展開部の後半は、第1テーマが再びフルートにあらわれますが、E音から始まるという転調をおこなっています。が、それよりも、リズム的に大きく拡大されての展開をみせています。
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この拡大のあとに、今度はリズム的に縮小され、表情も大きく変えて続きます。
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この拡大された第1テーマと縮小されリズミックになった第1テーマの組み合わせは、転調して繰り返され、深く印象付けられます。
この繰り返しの後、音楽は第5部(再現部)へと移ります。

第5部(再現部)

この曲はソナタ形式の体裁をとっていますが、ソナタ形式ではないようです。しかし、このテーマの回帰は、再現部を思い起こさせるには十分でしょう。
しかし、テーマは完全な形では再現されません。それどころか、第2テーマの後半が組み合わせられた形での再現となっているのは、印象的です。
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このあと、次第に静かになって行き、最後に主題が簡潔な四つの音に収束し、静かに曲を閉じます。この四つの音がハープのフラジオレットに彩られてフルートに奏でられるあたりは、冒頭の遙かなエコーが響いているのでしょう。
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by Schweizer_Musik | 2005-07-02 11:57 | 授業のための覚え書き
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