ショパン・コンクールに出場予定の中国系アメリカ人?のメイ=ティン・スン (Mei-Ting Sun)のホーム・ページにいくつかの録音がアップされていることを「おかか1968」ダイアリーで知ったので、その試聴記を書いてみる。
バルトークのピアノ・ソナタと3つの練習曲(この曲の録音は珍しい)とリサイタルのライブ録音でスカルラッティのソナタを2曲とシューマンのクライスレリアーナがその全てであったが、現在24才といのことで、最もテクニックがある時期(本来はピアニストの指のピークは18才前後だと私は考えている。以後はテクニックが進化することはなく、落ちないようにするだけだ)の演奏だということになる。 なるほど、このバルトークは素晴らしい反応力だ。私はミシェル・ベロフの古い録音と聞き比べたのだが、全く遜色なかった。それどころか切れ味の鋭いこの演奏から、この時期でしかできない伸びやかさが感じられて、大変好ましく思った。 彼が様々な魑魅魍魎の跋扈するコンクールの舞台でどのような結果を残すかはわからない。下馬評を出してもしかたない話だ。しかし、この才能は素晴らしいものだ。 録音も大変良い。これはプロの手による録音ではないだろうか。ということはすでに大手のレコード・メーカーがついているのだろうか。 舌を巻いたのは、バルトークのエチュードだ。最初からウルトラCの連続を快刀乱麻でどんどん進む様はやはり気持ちいいものだ。抒情的な部分でも実に美しいタッチで弾きこなす。彼のピアノはこの輝くようなタッチに魅力があるのではないかとも思えてくる。それでいて情感に不足しない。かなりのものだ。 スカルラッティとシューマンはリサイタルのライブで、違うソースのようだ。(バルトークもライブではあるが)こちらは少し録音クオリティが低いが、鑑賞には一向に差し支えない。 スカルラッティは私はロスの全集でしか知らない曲(といってもようやく一度通して聞いたに過ぎず、この曲の印象はない)であった。ピアニスティックな良い演奏だ。 続くクライスレリアーナがやはり目玉だろう。 上手い。上手すぎる・・・。私のこの曲のファーストチョイスはチェルカスキーなのだが、ちょっとこの魅力に負けそうだ。冒頭からぐっと聞く者の心をわしづかみにするような魅力をふりまいている。 彼は確かに優秀な、そしてなかなか教えて教えられるものでない、美しいタッチ(音色)を持っている。それも千変万化する・・・。素晴らしい才能である。 一度お試しあれ!。*****(特薦)である。参りました。 彼の公式サイト内のここにある。 彼のプロフィールはこちらで。 とこで、日本からもかなりのメンバーが行くことがわかっているのだが、私は関本昌平氏に注目している。かれの映像がピティナのHPにあった。ショパンのエチュードの見事な演奏だった。
by Schweizer_Musik
| 2005-07-04 17:46
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