ハイティンク指揮LSOライブシリーズ、ブラームスの第2番 ***(注目)
やはり買ってしまった、ハイティンクのブラームスの第2番を。
予想通り、素晴らしい演奏だ。歌い、うねり、また歌いそしてうねる。第2楽章など下手に内省的になったりしないで大らかに歌わせるところがとても良い。ああ全くもって魅了され尽くした。
音楽に合わせて、微妙なテンポの変化が与えられ、音楽の性格を強調していくあたりは実にロマンチックで素晴らしく、またそうした演出が全く自然で、恣意的な意図を感じさせないのは、ハイティンクの近年の充実をあらわしていると言って良いのではないだろうか。深いタメと呼吸によって生み出されるクライマックスに熱くなってしまうのは、私だけではないだろう。
ただ、終楽章はあまりあおらず、ちょっと冷静すぎるような気がする。うーん、この終楽章はやはりちょっと寂しすぎるかな・・・。
フィルアップはドッペル・コンチェルト。私はこの曲はソリストの問題があると思うのだが、Nikolitchというヴァイオリニストとヒューのチェロはそう感心したものではなかった。1970年にハイティンクが録音したヘンリク・シェリングとヤーノシュ・シュタルケルをソリストに迎えてロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団と録音した演奏に比べると、出来映えからして遠く及ばない。
私はダヴィド・オイストラフがピエール・フルニエと名指揮者のアルチェオ・ガリエラと共演した円満な演奏とムスティスラフ・ロストロポーヴィッチとジョージ・セルと共演した録音が今持ってこの曲の最高の演奏だと考えている。もっと古くてもよければ、ジャック・ティボーとパブロ・パウ・カザルスがコルトーの指揮でカザルスが設立して育てたバルセロナのオーケストラと共演した録音が全てに冠たる演奏だと考えている。
で、ハイティンクと二人のソリストによるこの演奏はあまりにきちんとしようと思いすぎていて、音楽に振り回されているというのが私の印象である。ソリストのスケールが全く音楽のスケールにあっていない。これは聞いていてちょっと辛かった。
というわけで、第2番は第1楽章から第3楽章までが超がつく名演。終楽章は少し劣るというか、私にはあまり魅力がなかったのは残念だった。ドッペル・コンチェルトはとても推薦できる水準にはなく、第1楽章もふくめて途中で聞くのを止めてしまったので、私は推薦もなにもする権利はないので、ここではこれ以上書くことがない。
iTuneでダウンロードした。確か1500円もしたが、今日タワー・レコードのサイトをチェックしたらブラームス全曲4枚で私は6000円払ってダウンロードしたのに、なんとショップでは3000円弱であった。ああ高い買い物をしてしまった。便利だけれど、iTuneはまだまだ割高だ。私もしばらく購入は見合わせようと思う。もっと実勢価格にあった価格設定になればいいのだが、アメリカなどの価格に対しても、アホらしくなるほど割高に感じる。国によって価格がこんなに違うというのは一体なんなのだろう。
ということでCD番号はありません・・・。評価は第2番のみ***です。
by Schweizer_Musik | 2005-08-21 19:16 | CD試聴記
<< iTuneで音楽をダウンロード... LPを聞いて思ったこと >>