フォーレのアヴェ・マリア
フォーレのアヴェ・マリアという曲はご存知だろうか。1871年、パリ・コミューンから逃れてスイスにやってきたフォーレが、勤めていたニーデルメイエル音楽学校(彼はここの卒業生だった)の学生たちと、グラン・サンベルナール峠に登り、そこの修道院で歌うためにフォーレが書いたものだ。
短いその曲を聞きながら、心が本当に癒される思いをした。私がここに行ったのはもう随分前になるし、その上天気が悪く、何も見えなかった。八月でも天気が悪ければ雪になるようなところだ。冬は雪崩などで旅人が多く遭難した難所であった。
ローマ人が作った峠道でありながらも、アルプスの峠はどこも壮大な美しさと自然の厳しさを併せ持つのだ。ここの旅人を助ける目的で修道院がおかれ、遭難者を助けるために犬を飼っていたのだが、それがセント・バーナード犬である。
峠には、今もセント・バーナード犬がたくさん飼われているが、それは遭難者の救出のためではなく、観光客のためである。今日では雪崩に巻き込まれた人を探すのはセント・バーナード犬ではなくシェパード犬などが多いそうだ。
アヴェ・マリアの楽譜を先日ようやく購入した。フォーレの合唱曲集の中に入っているもので、それしか私には探せなかった。
たった2ページ。他の曲はほとんどがすでに私は楽譜を持っているので、このアヴェ・マリアのためだけの出費であったが、8000円ほどのその価格は高かったが、それを聞きながら、楽譜を眺めてみて、色々と疑問だったところがわかった。
ベルナルド・ラバディー指揮ケベック教会合唱団で、リチャード・バレのオルガンによるその演奏(Ades/202132)は、柔らかな響きでとても美しい。ただテンポの揺らし方が楽譜の指示によるものかどうかがわからなかった。
楽譜を見てみて、ざうやら指揮者の解釈らしい。何しろ1960年代まで知られていなかった曲である。出版を考えていなかったはずで、フォーレも峠の修道院で歌ったら終わりのつもりで、楽譜に演奏上の指示を細かく書いていないようだ。
こうした楽譜はたくさんあるが、フォーレには意外と多い。
ついでに楽譜をフィナーレで作ったので、公開しておこう。男声三部とオルガンのために書かれている。
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by Schweizer_Musik | 2005-10-17 18:27 | 原稿書きの合間に
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