タカーチ四重奏団への期待
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集などで素晴らしい名演を披露してくれたタカーチ四重奏団が、ハイペリオンに移籍したというニュースを「おかか1968」ダイアリーで知った。私は大歓迎である。
もう売れ線しか狙っていないデッカで、彼らのような本格的な弦楽四重奏団がどこまでやれるか不安に感じていたからだ。新盤がもっと出て良い団体である。彼らの演奏は現代の室内楽の団体の中でも、最も高い完成度を持っている。1982年録音のシューベルトのピアノ五重奏曲 イ長調 Op.114 D.667 (1819)「ます」で私は彼らの新鮮なアンサンブルに触れたが、その後フンガトロン・レーベルからデッカに移り、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集で彼らの高い完成度の音楽にすっかり魅了されてしまった。
シューベルトの時のメンバーとは第1ヴァイオリンとヴィオラが替わっている。そのせいではないと思うが、シューベルトの時のやや直線的な印象から大分丸くなったという感じである。
ちなみに最初の第1ヴァイオリンであったカーボル・タカーチ=ナジは、その後も室内楽でいくつかの演奏で聞くことが出来る。オネゲルの1914年の実に珍しいピアノ三重奏曲の録音で彼の名前を見つけて、とても嬉しく思ったものだ。
ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲やシューベルトの弦楽四重奏曲、モーツァルト、ハイドン、バルトーク、彼らでもう一度聞きたいレパートリーは数知れず。それにおそらくはもの凄く良い演奏になるだろうと思うのはドヴォルザークとラヴェルとドビュッシー。

しかし、室内楽の売れ行きというのは爆発的ということは滅多にないが、長く売られることで絶対に見合うものとなるはずだ。そういう意味で、彼らのような団体にはぜひもっと自由にがんばってもらいたいものだ。
すでにシューベルトのリリースが予定されているようで、期待したい。
by Schweizer_Musik | 2005-10-29 22:04 | 音楽時事
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