世界の車窓からはラウターブルンネン
世界の車窓からは、懐かしいベルナー・オーバーラント鉄道でラウターブルンネンに向かっている。初めてスイスに行った時、一人旅でここに降り立ったことを思い出す。
私はユングフラウに向かわず、ミューレンへと行ったのだが、その日は雨で、気分は少々ブルーだった。
しかし、ミューレンのホテル・クリスタル・ベルビューのマダムがとても親切で、部屋も美しく、一人旅の寂しさを感じずに出来た。そしてそれ以上にミューレンの素晴らしかったこと!
あの岸壁の上の小さな村は、私にとってシルス・マリアとともに世界で最も美しい村である。ロンドンもウィーンも良かった。その重厚な歴史と美しい町並み・・・。でもミューレンは特別である。あの村に行くと、静けさとは一体どんなものであるか、よくわかる。遠くの小川の音を聞きながら眠ったあの日を思い出していた。
昼間は観光客で結構にぎわうが、最後の列車が出たら、自動車の乗り入れが禁止されている村だけに、完全な静寂に包まれる。ああいう体験をすると、日本のあの騒々しさ(私の家はそれでも静かな方であるが、救急車の音や米軍の夜中でもお構いなしの爆音に悩まされることがある)が一体何なのかと思ってしまう。まぁ、ミューレンで自動車乗り入れが禁止されているというより、自動車では行けないというのがより正しいが・・・。
ミューレンはブラームスが再三訪れた所で、彼もまたこの村が好きだった。そんなことはブラームスのどの伝記にも載っていないが、彼のスイスでの生活を伝える書簡が残されているのでこのことがわかる。
ミューレンからギンメルベルクに向かう下り坂を、転ぶようにして下っていったという。ところで、ブラームスはこのミューレンに歩いて来ているのだ。鉄道が通る数年前のことである。彼がとんでもない健脚であったことがこれだけでもわかる。
あの坂道を見たら、誰が何と言ったって、歩いてミューレンに行こうなどとは思わない!!
「世界の車窓から」は、明日はヴェンゲンの方に行くのだろう。確か明日あたりでこのスイスシリーズは終わりだったのではなかったか?一ヶ月あまり、本当に楽しめた。
by Schweizer_Musik | 2005-11-01 23:27 | 日々の出来事
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