12音音楽について
ペンタトニックは5つの音で曲を作る。長調、短調は基本的には7つの音を使って曲を作る。もちろん派生音として部分的に異なる音を使うこともあるのだが、原則的には7つで作り、その中に主音と属音、更に下属音という主従関係が出来て調性が成立する。
20世紀に入り、調性の崩壊が起こるとこの主従関係は消滅していく。
古典の時代に書かれたモーツァルトの作品は調性を持っている。
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このハ長調のソナチネから調性を奪い、無調の音楽にすると次ぎのようになる。
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参考のためのmp3で音を作りました。こちらからどうぞ。

調性がなくなることによって、清涼なモーツァルトの世界が皮肉っぽくなり、苛立ちなどが混ざって聞こえてくる。これが20世紀というのだろうか?
私はこれをこの説明用に簡単に作ってみた。作る時、同じ音をなるべく繰り返さないように作った。また調性を否定するように和声からはずれるように意識的に音を配置している。
しかし、調性だけを奪っただけでは、何が生まれたと言えるのだろうか。
音楽にある規則性を持たせたいと考えるようになったのは当然だ。調性に変わる秩序を求め、生まれたのが12音音楽であった。
調性音楽であれば、主音と主和音が世界の中心にあり、それとの力関係で成立しているのだが、12音音楽では調性を感じさせるものを一切拒否する。
試みに上のモーツァルトの楽譜を見て欲しい。左手に使われている音はドミソ、ドファラ、レファソ、シレソとこれだけである。その大半はドミソだ。
右手のメロディーもドミソ(それも特にドの音)が多いのに気が疲れるだろう。そして主音とそれに付属する音を強調するようなことを徹底して排除するために、スケールに含まれる12個の音を全て平等に、一つの反復もなく作ることが12音音楽の基本となっている。

12音音楽は、まず基礎となる音列を作ることから始める。
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この音列を音程の上下関係を反転させた音列もここから導き出されるはずだ。次にその反行形をあげておく。
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この二つの音列を逆から読むだけで新しい音列が生まれる。したがって基本音列ができれば、4つの音列が自動的にできることがわかるだろう。
この音列を使って小曲を作ってみた。
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音を聞いてみたいという方はこちらからどうぞ。私が作ったものなので恐縮であるが、同じようなものが、ウェーベルンにもある。そちらを出したかったのだが、楽譜が探せなかったので、私の稚拙な作品で我慢してほしい。もちろん、この説明のために書いたもの。
これだけではあまりに瞬間芸で、プライドが許さず、ずるずると中間部を作ろうと思った。
ここまででは、十二音の基本的な音列4つだけであるが、実はこの音列から音高を半音ずらすともう一つの音列がうまれる。従って一個の音列から48個の音列が生まれることがわかっていただけるものと思う。これが、12音音楽の作り方の基本である。
で、中間では5度上の音列を使って作ろうと考えた。次にその音列をあげておく。
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この音列で続く中間を作ったので見て欲しい。
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段々めんどうくさくなってきたので(プライドはどこへ行った?)本当にコピー・ペイストで再現を作った(というより写した)。
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作曲のお仕事ではこんないい加減ことをしておりませんので、誤解なきよう!!
次に12音音楽の実際を、新ウィーン楽派のいくつかの作品を見ていくことで、勉強していってみよう。
この項続く。
by Schweizer_Musik | 2006-02-26 13:22 | 授業のための覚え書き
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