フルトヴェングラーの第2交響曲についてyurikamomeさんがいつものように書いておられたので、コメントしようと書き始めたら、長くなったのでエントリーします。
演奏家で作曲もするという人は多いですが、マーラーなんて典型でしょうね。今では本職が作曲と思っている人も多いようですが、彼はウィーン国立歌劇場の音楽監督からニューヨーク・フィルの音楽監督へとなった当時のトップ・スターであり、典型的日曜作曲家でした。その弟子、ワルターも結構沢山曲を残していて、ピアノ・トリオだとか、ヴァイオリン・ソナタなんて聞いたことがあります。ケンプも・・・。でもなんというか、私にはつまらないものでした。しかし、ワルターやケンプに比べれば、バーンスタインなんて作曲家としても成功した演奏家でしたね。彼のシリアスな作品もなかなかに面白い作品が多いですが、やはり大ヒットしたミュージカル「ウェストサイド・ストーリー」を無視することはできないでしょう。 しかし、それなら、アンドレ・プレヴィンも私はあげたくなります。彼は指揮者としてピアニストとして、そしてヴァイオリニストのアンネ=ゾフィー・ムターの夫でもあるのですが、もともとはハリウッドのミュージカルの作曲家、編曲家として活躍していました。「マイ・フェア・レディ」は彼の仕事でした(編曲と指揮で)。またジャズ・ピアニストとしても超一流で、1950年代にコンテンポラリー・レーベルにウェスト・サイド・ストーリーやマイ・フェア・レディをピアノ・トリオで入れていますが、歴史的名盤として有名です。 まぁ、ですから彼がロンドン交響楽団の指揮者に迎えられた時は、ポピュラーの作曲家がクラシックのオケを振れるものかと、随分反対意見があったそうですよ。 そうした日曜作曲家の中で、私は才人マルケヴィッチを今は最も高く評価しているのですが、マルコポーロ・レーベルでいくつかリリースされているとはいえ、なかなかマイナー作曲家から抜け出せない状況です。彼の音楽は実に洒落た作風で、もっとリリースされないものかと思います。 ところで、クーベリックも引退する時は作曲する時間を作りたいというのだったような気がしますが、彼の協奏曲なんて聞いたことがありますが、結構充実さた作品でした。マルティノンの「至高」という交響曲第4番は最近タワー・レコードの企画で復活していますから、比較的簡単に聞くことができますが、結構面白いものです。 大指揮者のアンセルメは、ブロッホの弟子でしたから作曲をしていますが、作品はともかく、彼がアレンジしたドビュッシーの「六つの古代碑銘」のオーケストレーションは見事でした。デュランから出版されていますが、面白いことにアンセルメはこの曲の録音をステレオで残していないようです。実際に中々音を聞くことが出来なかったのですが、アルミン・ジョルダン指揮バーゼル交響楽団の演奏で聞くことができるようになったのはありがたかったです。 シュナーベルやシェルヘン、あるいはマタチッチあたりは、問題意識も強く、私を大いに刺激してくれます。 ムラヴィンスキーも小品ですがピアノ曲が何年か前にCDが出ましたが、「ふーん」という感じでした。 で、話題のフルトヴェングラーも「作曲もする指揮者」であり、ピアノと管弦楽のための交響協奏曲とこの第2番の交響曲が最も成功したものです。 聞いてみると・・・うーん・・・評価が難しいですねぇ。スイスに亡命して体調を崩し、サナトリウムに入っていた時に書いたのがこの交響曲ですが、戦犯容疑をかけられ、全ての音楽活動を禁止され、友人からの援助を受けて生活するという苦しい時代の音楽だけに、明るい音楽とはならなかったようです。息が詰まるような暗さがこの音楽ですが、確かにブルックナーなんかの影響は認められますが、救いがないのがこの音楽の特徴ではないかと思います。ショスタコーヴィチならずっと洒落た音使いやスペクタクルな表現で随分聞きやすくなっているのに、フルトヴェングラーはそうした効果に全く興味がなさそうで、厳しすぎるみたいです。 フルトヴェングラー作曲、交響曲第2番
by Schweizer_Musik
| 2006-03-27 13:13
| 原稿書きの合間に
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