オネゲルの交響的運動「機関車パシフィック231」考 -03
第1部 第1エピソード
続いて第1エピソードが出て来る。これは序奏の後半に出てきたホルンの動機が発展して出来たものである。主題がリズミックな作りであるのに対して、この第1エピソードは大変メロディアスに出来ていて、四本のホルンが二本ずつ交互に演奏するようになっている。
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このメロディーはフレーズごとに三つのモードで出来ていると考える。a音階はドリア旋法と同じであるが、他は根音の解釈によって異なるので、なかなか判断がつかないが、とりあえずコンバスの小節頭の音を根音として解釈したら次のような音階が得られる。
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但し、c音階の根音をG音とすれば、b音階とc音階はただ根音を変えただけのものとなり、同じであるとも言える。こちらの方が正しいのではとも思うが、これは作曲者に聞いてみないとわからない。でも聞いても笑って答えないことだろう。私ならそうする。(笑)
五小節の推移的挿入句が続く。3/2拍子となっているが、付点二分音符=二分音符という指示があるので、三連符の連続となり、第1エピソードの三連符が展開されていると言ってもいいかも知れない。
第1エピソードはトランペットによって、属調に転調し、変奏を加えた形で(リズム的に縮小されて)展開される。
これは比べるとよく分かる。はじめのは一小節に5つから6つの音が入り、2小節ずつ交互に演奏されていたのだが、展開では一小節に7つの音が入り、はじめだけが2小節トランペットによって演奏され、あとは一小節ずつ交互に出て来る。最初が八小節あったのに対して、展開では六小節に縮小されているのだ。
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第1部 第2エピソード
第2エピソードはリズムだけの前振りがあり、この部分をまずあげておく。
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この前振りに続いて第2エピソードが提示されるが、前のエピソードのメロディックな性格から再びリズミックな性格へと戻したところに注目しなくてはならない。次にそのエピソードの本体をあげる。
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主題提示部での挿入句(あの汽車ポッポの動機)がチェロとコンバスに使われている。その上でのファゴットの動きも実はあの汽車ポッポの動機でのビオラのバートの変奏であることがわかる。
再び第2エピソードの「前振り」が入るが、すでに展開が加えられていて、ここから展開がはじまっていることを示している。
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この前振りの展開に引き続いて第2エピソード本体が展開されるのだが、それは4声のカノンで出来ている。ストレッタ的に一小節おくれで次々と繰り出す様子はなかなかの圧巻で、思いつきで書いているのではなく、オネゲルが入念に準備し、計画して書いていることがよくわかるだろう。ともかく、思いつきで書いてこうはいかないものだ。
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続いて挿入される推移は、汽車ポッポの動機を八分音符に縮小したもので、汽車のスピードがかなり上がってきたことがわかる。
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第1部 第3エピソード
最後に四小節だけの次のエピソードが挿入される。これは繰り返されず、四小節で終わるのだが、後半にかけて重要な素材となる。また、たった四小節なのに、強烈な印象を与えるフレーズである。
主に弦による伴奏部分は、機関車の快調に走る様をよく表していると考えるが、完全四度と減五度を組み合わせたもので、バスがその動きを強調しているのがポイントである。メロディーだけにしようかと思ったが、その部分にも注目してもらいたいので、あえて弦楽器のパートも紹介しておく。
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この伴奏部分が発展する形で、前の挿入句が展開されて第1部を終える。
この項、更に続く予定(かなりしんどくなってきた・・・)
by Schweizer_Musik | 2006-04-17 10:36 | 授業のための覚え書き
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